2022年11月6日(日) 晴  吉原宿から蒲原宿・油井宿  16.2㌔

 

 10時過ぎに家を出て、三島まで新幹線、東海道線で富士で降りる。富士駅から見る富士山は雄大だった。

 

 

 駅前の商店街は日曜日のため閑散としていた。11時に商店街の途中から左折して東海道を歩き始める。昔の高札場であった札の辻の石柱が立っていた。

 

 

 道なりに進み、ユズの産地である柚木地区を歩く。しばらく行くと、富士川が見えてくる。富士川橋の手前に「水神社」がある。境内に富士川渡船場跡碑や富士山道道標などがある。橋の渡し賃は一人六文だった。

 

 

 富士川は信濃甲斐境の裾岳に源を発し、流末は駿河湾に注ぐ日本三大急流の一つ。橋の途中から眺める富士山は格別であった。

 

 

 

 橋を渡り、坂を登っていくと秋葉山の常夜灯があちこちに立っていた。

 

 

 まもなく、岩淵の一里塚がある。両塚を残しており、江戸日本橋より三十七里目。付近には名物「栗の粉餅」を商う茶屋が軒を連ねていた。

 

 

 道なりに歩いていくと、馬頭観音が3体斜面に安置されていた。天保年間に造立されたものだ。

 

 

 この辺りから蒲原宿が始まる。蒲原宿は富士川の渡しを控え、川止めになると旅人でにぎわった。蒲原の一里塚、日本橋より三十八里目。

 

 

 宿内は昔の面影を残しており、本陣跡や旧商家跡などが保存されていた。

 

 

 

 広重は、めったに雪の降らない蒲原を、しゃれでことさら誇張して「夜の雪」を描いている。今は、「夜の雪」の碑が建っている。

     

 だいぶ日も傾いてきたので、新蒲原駅から蒲原駅まで電車で移動。蒲原駅を降りてまた歩き始めると、由比はもうすぐだ。東名高速高架をくぐると神沢川酒造の煙突が立っている。当地の銘酒「正雪」の蔵元。

 

 

 さらに行くと、由比の一里塚跡がある。日本橋から三十九里目。由比宿は源頼朝に安堵された大宅氏の子孫が由比氏と称して勢力を張った地。

 

 

 由比本陣跡は本陣公園になっており、美術館も併設されている。

 

 

 本陣跡の向かいに、正雪紺屋という、江戸初期創業の染物屋がある。慶安事件で知られる由比正雪の生家。

 

 

 由比は桜えびで有名、桜エビを商う店が多い。「海の宝石」と言われる桜えびは春と秋が漁期である。由比漁港も近い。

 

 

 5時近くになり、予約してある宿に急ぐ。旅館は由比駅前の「見晴旅館」、駅は宿場から一キロほど離れており、重い足を引きずりながらやっと着いた。今日は、桜エビ漁の初漁で多くの漁船が夜に帰ってくるそうで、この旅館も宴会で貸し切りだったが、一人の泊り客ならと受け入れてもらった宿だ。歩いた距離約12㌔。魚料理と日本酒で、旅の疲れをいやした。

 

2022年11月7日(月) 晴  由比宿から興津宿 9.2㌔

 

 朝食に昨日獲れたばかりの生桜えびを出してもらった。宿の若夫婦は親切で、食事もうまくいい旅館だった。8時に宿を出て、歩き始める。歩道橋を渡って、細い道を歩くと宗像神社に出る。航海の守護神だ。

 

 

 古い家並みが続いている。名主の館跡小池邸がある。

 

 

 西倉沢の一里塚跡を過ぎると急な上り坂になる。薩った(さった)峠の入り口だ。

 

 

 早朝で誰もいない峠道を歩く、眼下には駿河湾手前は国道一号線だ。

 

 

 

 左右にはミカン畑が並ぶ。その中に「ぶんたん」がなっている木があった。

 

 

 きつい登り道が終わり、薩った地蔵道道標がある。広重はここから眺める富士山を描いた。今日も遠くに富士山が見える。

 

 そこにいた農家の人に聞くと、毎日見る景色なので感動もしないとの返事。さもありなんと思った。近くに「薩った山合戦場跡」の解説がある。ここで合戦が二度行われた。足利尊氏と弟の貞義の争い、武田信玄と今川氏真との戦いである。この峠の頂上を制したほうが勝利した。

 

 

 峠を下ると興津川に出る。興津川は甲斐駿河境の田代峠に源を発し、駿河湾に注ぐ。広重は「川越し」の風景を描いているが、川にはアユを釣る釣り人を数人見かけた。

 

 興津川橋を渡ると興津宿である。興津宿は興津川の渡し、難所薩った峠、そして身延山の追分を控え賑わった。その身延山道道標があった。身延三里と刻まれている。日蓮宗総本山久遠寺へ向かう道である。そのためかやたらに日蓮宗の寺が多い。

 

 

 興津宿には昔の面影はない。わずかに本陣跡の碑があるが古い家などは残されていない。。

 

 

 今日はここまでとし、まだ11時前だったので、興津駅から由比駅に戻り、漁港まで行って昼食に桜エビ定食を食べた。生桜エビ、釜揚げ桜エビ、桜エビのかき揚げ、うまかった。歩いた距離は約9キロ、三島から新幹線で帰宅。