なぁおまえ 天国っちゅうとこはそんなに甘いもんやおまへんにや | 鳥肌音楽 Chicken Skin Music

鳥肌音楽 Chicken Skin Music

WRITING ABOUT MUSIC IS LIKE DANCING ABOUT ARCHITECTURE.

亡くなった方に対して不真面目なタイトルをつけやがってと怒られそうですが、トノバン(加藤和彦さん)はきっと”いいんじゃなぃのホントに死んじまったんだから”といつもの笑顔で許してくれると思います。そんな粋で洒脱でなにやってもスマートで決して下品にならない人、いつも優しそうに笑っているというのが僕のトノバンに対するイメージなので<自殺>というトノバンには絶対に似合わない二文字が信じられません。

加藤和彦という名前で頭に浮かんできた曲を少しアップしておきます。これらは僕の記憶の中にずっと生き続けてきた曲たちで、これから先も僕が存在する限り記憶の中でいき続けることでしょう。

ザ・フォーク・クルセダース / 帰ってきたヨッパライ 1967 作詞:北山修


小学校2年くらいかな。とにかく面白い歌ということであっという間に覚えた歌。めちゃくちゃ実験的なのにノベルティ・ソングの皮を被ることで売れてしまった奇跡的な一曲。最後のお経がいつしかハード・デイズ・ナイトになっているのはビートルズの実験精神に対する日本からの回答だったのでしょうね。GSという形の模倣はあったけど、ちゃんとビートルズを理解してたのはフォークルだけだったのかもしれません。

ベッツィー&クリス / 白い色は恋人の色 1969 作詞:北山修


この曲が「ヨッパライ」を作ったのと同じ人たちが作ったなんて信じられませんでした。

トワ・エ・モア / 初恋の人に似ている 1970 作詞:北山修


あらためてトノバンが楽曲提供をした人たちを見てみると北山修とのコンビではグループが多く、公私のパートナーであった安井かずみとのコンビではほとんどが女性アイドルというのに気づきました。

加藤和彦 / 家をつくるなら 1971 作詞:松山猛


ひよっとするとトノバンの曲で老若男女みんなが知ってるのはこの曲かもしれませんね。40年近くパナホームのCMとして流れていますからね。

Unkown / あの素晴しい愛をもう一度 録音年不詳 歌詞:北山修


後に音楽教科書ににも載るくらいなので、学級対抗の合唱コンクールの定番曲となっています。僕は歌ったことないけどどこかのクラスは唄ってたな。タイトルのインパクトが強いのでしょうね。この曲70年夏にトノバンがミカと結婚した際に北山がトノバンに歌詞をプレゼント、それにトノバンが曲をつけクリスマスにミカにプレゼントしたんだとか。しかし、この歌詞が結婚祝いでいいのか?ひょっとしてトノバンとミカの結婚には一悶着があってそれを知ってる北山だから書けた歌詞なのかもしれません。数年後には素晴らしい愛も黒船によって破局してしまうとは、誰も思っていなかったてことか。

ピンク・ピクルス / 天使が恋をおぼえたら 1971 作詞:北山修


そっかピンクピクルスって同女(=同志社女子大)やったんすね。同じ京都のよしみでトノバンから曲の提供を受けたのでしょうか。ちなみに名前は京都名物の柴漬けを英訳したんだとか、ガクッ。

牧葉ユミ / 冒険 1971 作詞:北山修


これは北山修の歌詞がすごいですね。乱れた世の中を正そうと5年前に家を飛び出た少年が、東京で出会った女の子に枕詞で理想を語るが、結局出来たのは5人の子供だけ。なんともナンセンスというか学生運動に対する皮肉たっぷりな曲という気がいたします。

アグネス・チャン / 妖精の詩 1973 作詞:松山猛


アグネスの2ndシングル、「ひなげし」が全部がキンキン声すぎたのに対し、この曲では頭は押さえた唄いだしで”はぁ~るがめぐぅ~りきた”で一気に爆発するというメリハリが効果的でさすがはトノバンという感じであります。

サディスティック・ミカ・バンド / タイム・マシンにお願い 1974 作詞:松山猛


中学になって洋楽聴き始めて完全に洋楽偏重というか邦楽はあかんと思うようになっていました。しかしビートルズのアシスタント・プロデューサーであったクリス・トーマスがプロデュースをした日本のバンドがイギリスでレコード・デビューするという話を聞いて、へぇー日本にもそんな凄いヤツいたんやと感心いたしました。でも、まさかそのバンドのリーダーがあの「ヨッパライ」を作った男だったとは・・・。

加藤和彦 / シンガプーラ 1976 作詞:安井かずみ


クリス・トーマスに妻であったミカを寝取られたトノバンが後に公私ともにパートナーとなる安井かずみとのコンビで発表したシングル。この時点で80年代前半の例の三部作を予感させる曲調なのがさすが。

大原麗子 / 花火 1978 作詞:山川啓介


和服の似合う大原麗子に山川啓介という演歌よりの世界に対してもきっちりと大人の歌がつくれるあたりはプロですね。

竹内まりや / ドリーム・オブ・ユー 1979 作詞:竜真知子


80年代、それまで職業作家がメインであった歌謡界にニューミュージックのアーチスト達が作家として雪崩こんできます。それにより80年代のアイドル歌謡は百花繚乱の様相を呈します。ご他聞にもれずトノバンも多くのアイドルに曲を提供するようになります。そんな中、プレ80年代アイドル的にヒットしたのが竹内まりやでした。

岡崎友紀 / ドゥ・ユー・リメンバー・ミー 1980 作詞:安井かずみ


フィル・スペクターによる音壁サウンドは日本のアイドル歌謡と何故か親和性が高く、和製音壁サウンドのアイドル歌謡が80年代に数多く現れることとなります。一般的には81年発売の大滝詠一の『ロング・バケーション』が大きなルーツと見られていますが、大滝のナイアガラ・サウンドとは別に(歌謡界ではナイアガラよりも早く)音壁を持ち込んだのがトノバンだったのではないかと思います。この曲はトノバン流音壁の最初にして最高のナンバーです。

加藤和彦 / ルムバ・アメッリカン 1980 作詞:安井かずみ


80年代の三部作から。この時期日本でいちばんお洒落な音楽をやっていたのがトノバンだったと思います。

伊藤つかさ / 夕暮れ物語 1981 作詞:安井かずみ


この曲もトノバン流音壁の一曲なのですが、曲の前半が童謡を思わせるメロデイでデビューシングル「少女人形」でこうせつが作り出した和風路線を引き継ぐものなのですが、その見事な山田耕筰とスペクターの合体にやられてしまいました。

高見知佳 / ボーイフレンド 1981 作詞:安井かずみ


もう絶好調という感じですね。このポップさ、なんでヒットしなかったんでしょう。

広田玲央名 / だいじょうぶマイ・フレンド 1983 作詞:安井かずみ


そうかこの映画ピーター・フォンダが出てたんですね。だいじょうぶマイ・フレンドという歌詞の”だいじょうぶ”が漢字の大丈夫じゃなくカタカナのダイジョーブと外人っぽく聞こえるのが面白いです。
  
飯島真理 / 愛・おぼえていますか 1984 作詞:安井かずみ


僕はマクロスやガンダムといったアニメはこれっぽっちも見たことないのですが、この曲はいい歌だなぁと思っていたらトノバン作曲でした。なるほどね。

若林志穂 / テレフォン・キッス 1985 作詞:安井かずみ


80年代の泡沫アイドルの一人です。歌手ではヒットはありませんでしたが女優として芽が出そうだったのですが2001年にたまたま目撃してしまった殺人事件がトラウマとなって活動を自粛、現在はほぼ引退状態のようです。曲はいいんだけど歌がなぁ。

ちわきまゆみ / BE MY ANGEL 1988 作詞:宇辺セージ


これも見事な音壁ですね。タイトルもそれっぽいですもんね。ビー・マイ・エンジェル、ビー・マイ・エンジェル、ビー・マイ・ベイビーってね。

高岡早紀 / 真夜中のサブリナ 1988 作詞:真名杏樹


高岡早紀 / 薔薇と毒薬 1989 作詞:森 雪之丞


トノバンが最も深く関わったアイドルは高岡早紀かもしれません。シングル7曲のうち最後の1曲を除いた6曲がトノバンの作曲です。トノバンはじめユキヒロや千住明が参加して作り上げたヨーロッパを感じさせるメランコリックな楽曲に高岡自身はなんで私が?普通の歌を歌わせてと思っていたようです。

ブラザース・フォー / Ano Subarashii Ai O Moichido 1997 作詞:ボブ・フリック


96年のブラザース・フォーの来日公演で「遠くへ行きたい」と共に披露された日本のファンへのサービス。英詞で歌われてもほとんど違和感ありませんね。しかし何故タイトル部分だけ日本語?

サディスティック・ミカエラ・バンド / タイム・マシンにお願い 2007 作詞:松山猛


再々結成されたミカ・バンドのために選ばれたボーカルは木村カエラでした。初代ミカ・バンドの代表曲をセルフ・カバー。これだけの重鎮達を前に少しも物怖じしていないカエラときたら・・・。

VITAMIN-Q featuring ANZA / スゥキスキスゥ 2008 作詞:森 雪之丞


盟友小原礼をはじめ豪太、土屋昌巳という海外でも評価の高いメンバーを集めて結成されたユニット。これまたトノバン流音壁です。よっぽど好きだったのでしょうか。

和幸 / 悲しくてやりきれない 2008 作詞:北山修


もちろんトノバンの代表曲なのですが、三線を使ったアレンジが違和感なくぴったりはまっています。オリジナルよりもこのアレンジの方が何故か自然に思えてしまいます。
 

和幸 / 感謝  作詞:きたやまおさむ


いっぱいの歌に 心からの感謝を。