「そうでも…ないのよ。
やはり政務に身が入っていないようにそなたに見えるのなら…
今日はここまでにするわ。
悪いけれども、あとをお願い。」
「それはよろしいのですが。」
トパーズの瞳をくるめかせてナルセスは言った。
「よろしければ、私にご心配をお聞かせ願えませんでしょうか。
及ばずながら、このナルセス、陛下のお役に立つために
こうしてお側にお仕えしているのですから。」
「ありがとう、ナルセス。」
儀礼的にリジイアは笑みを見せた。
「だけれども心配してくれなくてもいいのよ。
とりわけて悩みなどないのだから。
…そなたの言うように疲れているのかもしれないわ。」
「陛下、なぜお隠しになられます?」
真剣な面持ちでナルセスは詰め寄った。
「さほどまでにこのナルセス、ご信頼いただけぬのでしょうか。」
「ど、どうしたと言うの、ナルセス。」
リジイアはたじろいだ。
「そなたは私の相談役だし…本当になくてはならぬ片腕だわ。
私は随分とそなたのことを頼りにしているのよ。
信頼していない、だなんて。」
「ですが、陛下はそのようにお心を翳らすことを何一つとして
ご相談くださいませぬ。
あの日、陛下はどこへお姿をお隠しになられたのか、
なぜナザレア公のお見舞いにお行きにならぬのか。」