雨 風 呂 -327ページ目

新宿駅南口歩道橋 夜景

ブックマーク:★巨大建物









新宿駅南口、新南口はバスターミナルビル、バスタの完成に伴い人通りも増えました。
南口と新南口の間の国道20号甲州街道は新宿駅からは新宿通りと名前が変わります。
南口の横断歩道を渡る人の数も多く信号待ちの時間も長いです。
自分は南口に設置してあるこの無骨な鉄骨の歩道橋が好きです。
人混みに身を置かなくても済むし自分のペースで移動できるからです。
またここからの景色も好きです。
流れる車のライト、甲州街道の先には
都庁第3庁舎と言うニックネームの新宿パークタワービルが真ん中に。
この歩道橋の南口側は新宿区、
新宿タカシマヤがある新南口方面は渋谷区となっています。
クリスマスシーズンにはこの周辺は素敵な風景になります♪
新宿サザンテラス☆2013の記事より。


※関連記事

■夜景


2015

黄昏のガス灯【GAS MUSEUM】

ブックマーク★レトロ系建物







以前、2013年02月06日(水)ガス灯と赤レンガ【GAS MUSEUM】の記事で紹介しました。
小平市にある東京ガスの博物館、「ガス資料館(GAS MUSEUM)」です。
ガス灯が活躍してた明治時代の建物を忠実に再現した素敵な赤レンガの建物です。
今でこそ照明と言えば電気ですが当時はガス燈が主流でした。
年末は忙しく、イルミの撮影がメインなので翌年の1月に来てみましたが・・
日没時間が遅くなって閉館時間の17時直前でも完全には暗くなりませんでした。
夜景にはならず、黄昏時ですね。
やっぱりここは冬至近くに来ないと真っ暗にはならないかも知れません。
開館時間 10:00 ~ 17:00 (入館は16:00まで)入館料 無料
休館日 月曜日、年末年始(月曜日が祝日および振替休日の場合は翌日が休館)
駐車場 30台(無料)住所 東京都小平市大沼町4-31-25
西武新宿線小平駅より徒歩22分
・西武新宿線 花小金井駅北口より
・JR中央線 武蔵小金井駅北口より
 (武21)錦城高校経由...東久留米駅西口ゆき西武バス 「ガスミュージアム入口」

※関連記事
2013年02月06日(水)ガス灯と赤レンガ【GAS MUSEUM】
2013年02月08日(金)天使とガス灯【GAS MUSEUM】


■夜景


2015

夕刻の時代

夕刻の時代§5 ゲルマニア戦争(最終回)




ついに戦争に突入した。
ゲルマニア最前線、ライン川国境付近の有事である。
ローマ帝国内の親ローマ派フランク族居留地に進入したブルグンド族、
アレマーニ族がさらに更に領土の拡大を計り内戦に発展したのだ。
ローマの傭兵たるフランク族も、
より血の気の多い部族の攻撃に体制を整える間も無く混乱している。
この同じゲルマン氏族同士の争いは壮絶である。
帝国の将軍は一旦前線から退き体制を整えてから反撃すべきとの指令を出し、
フランク族もそれを了承した。
将軍もこれは時間稼ぎだと言う事は認識している。
取り敢えず今は時間が欲しい。

だが、いつまでも自分の居留地に他の種族をのさばらして平気な種族では無い。
早く奪回しなければ、フランク族がローマに反乱を起こす可能性もある。
自分が居た世界の歴史ではフランク族は西ローマ帝国崩壊後、最強の勢力となり
フランク王国(フランス)を打ち立てたのだ。
アンディは皇帝の命を受け前線へ赴く事になった。
ラウルと言う将軍と綿密な打ち合わせを行う。
戦術面では有る程度こちらの判断を認めてくれるそうだ。
将軍が言う。
「このゲルマン民族はいつも部族間で争いが絶えないが、
この連中が結集して矛先をこちらに向けたら一溜りも無いな?
帝国なんか一片に乗っ取られてしまうに違いない。」
自分は将軍に返す言葉がなかった。
何故なら自分の居た世界ではその通りの事が起こってしまったからだ。

時が来た。
ローマ帝国及びフランク族の連合軍は反撃を開始した。
ライン川に配備された蒸気船は蒸気砲装備の戦艦2隻、
武器を持たない上陸用艇が2隻である。
この上陸用艇は運搬を目的とし、甲板を通常より広げ兵器を並べられる様にしてある。
その内の1隻には蒸気戦車が2台乗っている。
蒸気船はライン川よりゲルマニアを北上し、歩兵部隊が居留地に到着するのを待つ。
陸路では別に蒸気戦車を6台引き連れた歩兵、騎兵隊がライン川付近を北上した。

集結場所付近に隠れて待機し、後は将軍の突撃命令を待つのみだ。
夜明けを待ち、太陽が地平線に姿を見せる頃将軍の突撃命令が発せられた。
フランク族居留地のライン川付近に展開した歩兵部隊は
先ず見張り台に火を付け一気に居留地になだれ込む。
金髪碧眼の蛮族は寝込みを襲われうろたえたが、
そこは生まれながらの戦士、手に武器を持って前線へと集結する。
ブルグンド族の酋長はアレマーニ族を牽制しながらも
フランク族及びローマ連合軍を向かい打つべく馬に跨り最前線へ到着した。
アレマーニ族は独自に事態を把握し、遅ればせながら応戦を始めた様だ。
最前線は今までに見た事も無い程の修羅場だった。

いよいよ出撃だ。
手には汗がしみだし、武者震いも感じた。
上陸用艇の内の1隻は甲板から桟橋を降ろし、川岸に2台の蒸気戦車を送り出す。
一方我々の乗っている飛行艇を乗せた空母艇も準備を始める。
すでにバーナーは充分に気球の中に熱い、軽い空気を送り込んでいた。
甲板に繋ぎ止めているロープもギシギシと音を立てて
早く解放してくれと言わんばかりだ。
フックを外す。ファルコン号は糸の切れた凧の様に勢い良く上昇していく。



あっと言う間に空母艇が小さく見える。
ライン川の岸辺の森の向こうには蛮族がローマ/フランク連合軍に反撃している処が見える。
どうもこのままでは横風に流されて川に押し戻されてしまう。
進路を変更せねば。
バーナーで気球へと送る空気を加熱しさらに上昇すると船首を前線に向く様に尾翼を操作する。
両翼の帆をやや下向きに調整し、気球頂部の弁を開き熱気を解放する為にロープを引いた。
ガクンと飛行艇全体が急降下を始め、最前線へと滑空を始める。
爆撃開始!火炎瓶を次々と蛮族の騎兵へ向けて発射する。

蛮族で1番やっかいなのは騎兵である。
いかに強力な兵器を持っても機動性の高い彼らに制圧されたら意味が無いからだ。
騎兵の前に広がる火の海。
勇敢な彼らも目の前に広がる火の玉の弾幕より先には進めなかった。
馬もショックのあまり暴れだし兵士を落とし戦場を駆け回る。
一方蒸気戦車は怯む彼らを格好の的とし、これも落雷の様な音と共に砲撃を繰り返す。
それでもなかなか彼らは撤退しない。
反撃の機会を伺っている様だ。

飛行艇から見る戦場はまるで相手の手を見透かしたチェスの様。
相手が何を考え、何をしようとしているかが一目瞭然だ。
滑空しながら地表に近づいて来たファルコン号だが、
火炎瓶の猛烈な爆撃のせいで荷が軽くなり下降のスピードが鈍って来た様だ。
それでもこのままでは地表に近付き過ぎる。
その前にバーナーで気球を再加熱するか砂袋(バラスト)を放出しなければならない。
兵士や馬が間近で見える位降りてきた。
最前線に沿って上空を通過していると一際目立つ羽飾りや
顔や身体にペインティングをした酋長を発見した。
操舵士にそこへ向かうように指示し、乗員にバラスト投下準備をさせる。

10m位の距離まで近づいただろうか。
充分に引き寄せたつもりだったが
かえって彼に我々の存在を気づかせる結果に成ってしまった。
酋長はファルコン号の影に気が付くと馬を降り、弓に手を掛けたのだ。
まずい!「緊急バラスト投下!」の号令で船体下部の扉が開き、
砂袋、石、飲料水の入った壷もろとも一気に放出した。
石や砂袋が酋長の頭や肩に激突するのを見届けたが、
彼の生死を確認する暇も無く、荷を解放した我々は再び空へ舞い戻って行った。
遠ざかって兵士達の姿が小さくなって行く中、
フランク族の騎兵が前線を突破し酋長の取り巻きを制圧するのが見えた。
それを機転として一斉に敵は撤退を始めた。

我々の使命はまだ終わっていない。
今度は尾翼の帆を畳み、主翼の左右の帆を操作し反転を行う。
風上に船尾を向け終わると今度は船首から追い風用の帆を張り、
物凄い勢いで風下のライン川国境へ向かった。
案の定彼らは森に逃げ込もうとしている。
そうはさせるか!早く決着を着けなければ敵、見方共に犠牲者が増えるばかりだ。
なんとしても森の中でのゲリラ戦は避けなければ。
彼らを全滅させる意志は帝国には無い。制圧するのが目的なのだ。
そうやってローマは他民族を併合し巨大国家へと成長を続けてきたのだ。
森の手前で火炎瓶の弾幕を張ると足並みは乱れ、
そこへ追い打ちを掛ける様に森に待機した蒸気戦車が向かえ撃つ。
ちりじりになった彼らは川岸に向かい、船でライン川を北上して行く。

このままライン川を渡らせて次の機会を与えては成らない。
北方に待機していた将軍の旗艦の蒸気戦艦がそれらを迎える様に南下して来る。
蒸気戦艦は2隻とも砲撃を始め敵の船が川の中央に到達する前にそれらを撃沈する。
とうとう彼らをライン川の川岸に追い詰める事に成功した。
ローマ軍、フランク族との連合軍は完全にブルグンド、アレマーニ両種族を制圧したのだ。
ライン川の周辺はローマ軍、フランク族、ブルグンド族、アレマーニ族、
戦艦2隻、上陸用艇、空母が集結しすごい景色だ。
後の処理は将軍に任せて我々は撤収しよう。
ライン川の空母艇上空まで来ると甲板にゆっくりに錨を降ろし、
甲板作業員によりロープをウィンチで巻き取ってもらい徐々に降下して行く。

ブルグンド、アレマーニ両種族共、酋長の生け捕りは成功したようだ。
これからはフランク族を代理人として行動、領土が管理される。
皇帝は此処を正式に皇帝直属領土として制定するつもりなのだ。
いずれ提督が派遣され勝手な行動は出来なくなるだろう。
旗艦に呼ばれ将軍と再び顔を合わす。
乗船すると「帝国の守護者」と声を掛けられる。
が、自分は英雄に奉られて軍人になるつもりも無い。
「いや、自分は単なる技術者です。作戦、指揮、その功績もラウル将軍、あなたのお蔭です。
帝国の守護者の称号は貴方にこそ相応しい。ラウル将軍、万歳!」
するとファルコン号の乗員も自分に合わせて「ラウル将軍、万歳!」と声を上げる。
将軍は頷きながら握手をする。

ローマ軍、フランク族傭兵隊のローマ市入りは
不安定に陥っていた帝国を救った英雄として迎えられた。
凱旋式の会場となる闘技場(コロッセウム)は円筒型の高層建築物で、
さながらバビルの塔を想像させる雄大な印象を受ける。
その1っの門に続々と入っていく軍団の行列。
だがそのパレードの中にラウル将軍は居なかった。
なぜなら此処、飛行挺ファルコン号に自分と共に乗船しているからだ。
彼は皇帝に注目を受けるだろう空からの凱旋を希望したのだ。

闘技場の頂きにはドーナツ状に日除け用の布が張られていて、
空から見るとまるで火山の火口に溜まった雪の様だ。
気球の最上部より徐々に熱い軽い空気を放出して
真ん中にぽっかりと開いた日除け用の布の穴に向けてゆっくりと降下していく。
そして錨を落とすべくその穴目指して狙いを付けた。
もし失敗して接触したら5万の観衆の上に破れた巨大な天井が降ってくる事になるのだ。
その雲海の様に広がる天幕に充分に近づいた処で錨を落とすと
闘技場の地面のど真ん中にそれは突き刺さった。
場内に隊列を組んで待つ兵士が見守る中、飛行艇は静かに舞い降りる。
天幕の穴を通過する一瞬、場内は暗くなったが、
それを通過した後の後光が射した美しさは神の船の様に神々しい。
観衆は錨のロープをガイドとして降りてくるそれを津波の様な歓声で迎えた。
「そろそろですね、将軍。」「あぁ、緊張するよ、俺でも。」
ロープを目一杯巻き取って地面に降りたそれは此処の誰も見た事が無い怪物だった。
その翼の生えた「船」の船底の近くのドアが開き、降ろされたタラップより将軍が姿を現す。

依然鳴り止まない歓声に皇帝の手が上げられラッパが吹かれると一瞬の内に場内は静まった。
将軍は一呼吸置いて、「ただ今戻って参りました。」
と皇帝に右の手を斜めに上げ敬礼をした。
再び津波の様な歓声が始まる。
将軍はその後皇帝や観衆に称えられ、他でも無い勝地ゲルマニアの総督の地位を約束されたのだ。
無論現在の居留地の管理が一段落してからの話ではあるが。
皇帝はご機嫌だった様だ。
日も傾く頃、全ての余興も終わり閉会と成る。
将軍は皇帝や側近と会合があるので闘技場に残った。
自分はガリア提督のお付きで仕えていたエレナに一緒に帰ろうと声を掛けた。
彼女にとっては初めての空の旅になるだろう。
「うわぁ~、近くで見ると大きいのね。」
船体自体は既存の船の格好をしているが、船尾と両翼に帆を持っている事と、
頭上に広がる白い巨大な気球はエレナの興味を引かせるのに充分だった。

タラップを上がり船体に入っても窓から見える場内の景色に依然観衆の姿がある。
観客はこれが再び空へ舞い戻るのを見届けたいのだろう。
甲板に上がると乗員にバーナーを点火し気球の中に熱風を送り込ませる様に指示をした。
それに伴いガイドロープは浮力に抵抗してピンと張り始める。
甲板から見下ろす観客席にはあんぐりと口を開け我々を目で追う人々の顔が見える。
ファルコン号はウィンチに巻き取っていたロープを戻し始め、
降りてくる時に匹敵する位ゆっくりとしたスピードで上昇をして行く。
「ちょっと恐いわ。もう浮いてるじゃない!」とエレナは不安そうに言う。
「ハネムーンはこれで行くつもりなんだから馴れてくれないと困るよ。」
エレナははっとしてじっと自分の目を見つめる。
「あぁ、プロポーズと受け取って貰っていいよ。」
見つめるエレナの目が潤みだし彼女の口からは嗚咽が。
5万人の前で声を上げて泣かれても困るので、彼女の唇に自分のそれを重ねた。

凱旋式を後にした2人はローマからマッシリアへ向かいいち早くアウレス氏に報告した。
彼はエレナと自分を前にして何も言わず、ただ頷いて自分の手を握るのだった。
ヴァレン一家も呼び寄せ早速キリスト教に則って教会で式をあげる。
決して豪華でも無いむしろ質素な結婚式であった。
しかし近親者のみで行われた式は1人1人の顔を全て確認する事が出来、印象に残る物となった。
エレナの装いも21世紀の基準では派手な物では無かったが、
装飾が過ぎる事で本来の彼女の美しさが損なわれなかった事が幸いだった。
出席者全員の祝福を受け、自分はエレナと、
皆の見守る中庭園に係留してあったファルコン号に向かい、
彼女の手を取ってタラップを登る。
甲板から手を振る彼らを見下ろして居る内に自分も少し感傷的になって来た。
エレナを引き寄せ彼らに手を振って答える。



一旦イタリア州を経由して地中海上をギリシャ方面に向かう事にする。
地中海を渡る途中で日没を迎えた。
イベリア半島に沈む夕日を見ながら、ふとそこに有った故郷の姿が残像の様に脳裏に浮かんだ。
だが、今ではそれに取って代わる家族があるではないか。
眼下の海上には蒸気船の姿が有った。
あれもアウレス家の一員だと思うと頼もしく見える。
地平線に沈む夕日を見届けると地中海上で2人だけの夜を迎えた。
エーゲ海を後にしクレタ島を離れると、アフリカ大陸が見えてきた。
地中海の東の空に曙を見る。沈む満月と登る朝日。
妖しくも美しい光線に照らされた南の地平線にエジプト州のアレキサンドリア大灯台が見えてきた。
これは世界の七不思議の内の1つで14世紀に回教徒に破壊されるまで
高さ137mの姿は地中海中の人々の羨望の的だった。
紀元前3世紀アレキサンダー時代のギリシャ文明の技術には驚かされる。
近づきつつある大灯台に見守られながら、
この世界の、そして自分にとっても新しい夜明けとなる朝日が彼女と自分を照らした。

キリスト起源5世紀。
ゲルマニアの反乱制定後、我々の蒸気産業も国家的な事業に発達した。
帝国も周辺地域に圧倒的な戦力を見せつける事で
いさかいも減り領土内の経済活動も活発に成ってきた気がする。
ゲルマニアにおける勝利の後、東西帝国は再統一を果たしアルカディア正帝、
ホノリウス副帝による共同統治が始まっていた。
ゲルマニアの反乱の時将軍だったラウル氏も今では新ゲルマニア州の提督となり
新しい軍隊による国境付近の警備に大忙しだ。
蒸気戦艦はライン川からドナウ川に至る国境となる大河に続々と配備され、
蛮族もやたらに帝国領土に入る事は困難に成っている。

だが、依然国境の向こうでは民族間の争いが絶えないらしい。
極東から来た騎馬民族フン族がまだ東ヨーロッパ、西アジアに留まっているからだ。
自分の居た世界の歴史では民族大移動及びそれに伴う内戦はフン族が原因とされている。
そして間接的にはローマ帝国の滅亡も。
我々の平和を守らなくては。
それが叶わなくてもこの平和を出来るだけ長く続けさせたい。
ゲルマニアの内戦後、自分に求められている物の為に人生をこの世界に捧げる決心をした訳だが
それは以前から振る舞い方に迷いを感じていた自分に終止符を打つ結果となった。
またそれは自分にとって劇的な人生の転換期でもあった。
今でもその頃の事が昨日の事の様に思い出される。
凱旋式とその後の出来事が。
ローマの平和「Pax Romana」と新しい未来に祝福あれ!



夕刻の時代

夕刻の時代§4 ローマ




全ての道はローマへ通じる。
これは比喩によく用いられるが、ローマから伸びる主要幹線道路の総延長は8万4千km。
アメリカ合衆国の国道8万6千kmに比べても遜色無い。
愛車はそのうちの1本の石畳の国道をローマへ向かってひた走る。
右手に海を眺めながらの御機嫌な旅だ。
ローマ発祥の地、ラテン地方に近づくにつれ交通量が増えてきた。



ローマ市に入った様だ。
この時代では世界一華やかな場所だ。
特に伝説の代々7人の王が居た「幸運の7つの丘」の巨大建築物の群れと
地平線まで続く高層住宅群の街並みは他に比べる物も無い。
ローマ中心部は混雑の為、馬車の乗り入れが夜間のみとなって居るのだが、
競技場行きの我々は許可を受けているので入ることが出来た。
護衛や交通整理の兵士に囲まれて少々緊張する。
歩道に見える人垣を前にちょっと凱旋した戦士の様な気分だ。
会場が見えてきた。
競技場は全長800mの長円形の建築物で何層にも重ねるその姿は山程の大きさだ。

我々が控えのフロアーに到着した頃ホノリウス皇帝の戴冠式が始まる。
儀式的な事は事前に済ませて在るのだが、今日はローマ市民に対しての言わばお披露目である。
ローマ市民は食料無料配布、イベントの無料観戦、公衆浴場の無料使用が当然の権利と成っている。
食べ物の心配も無く競馬、ボクシング、演劇がただで見られ、
サウナ風呂、温泉、プールがただで使用出来ると言われたら現代人でもその政治家に投票するだろう。
今回のお披露目も市民へのサービスなのだ。
キリスト教をローマ帝国の国教にした後、
ホノリウス帝の命令(404年)で剣闘士による殺し合いは禁止されたが
他の競技の見世物は続けられた。

皇帝を称えるラッパが鳴り響き少年ホノリウス皇帝の宣言の言葉を側近が復唱して15万の観衆に伝える。
新しい西ローマ帝国の新皇帝には30万の手による津波の様な大音響の拍手。
さて、これからが披露宴のメインイベントだ。
いよいよ戦車(戦闘用馬車)によるレースが始まる。
ゲートから馬の嘶きと共にスタート位置に向かう各戦車。
と、観客がどよめく。
そう、しんがりに自分の911EV改が入場した時だ。
この距離でも観客の馬が居ないぞ?と言う表情は確認出来る。
この日の為にフル充電したポルシェが位置に付くとラッパを吹くローマ兵の口元に視線が集まる。
ラッパが吹かれ、一斉に馬に鞭が入る。

自分の位置からでは車体の屋根が邪魔でよくラッパの吹き手の姿が見えない。
が、フロントガラスの方へ身を乗り出して確認すると、まさにその時ラッパの音が!
ギアを1速に入れ同時にクラッチを繋ぐ。
アクセルを踏むのに連動してタコメーターが振れ、そのタイミングで次々とシフトアップをしていく。
ミラーで確認すると後ろは土埃の嵐だ。
馬達はパニックを起こし勝手な方向に走り出している。
あっと言う間にコーナーに達する。
減速をしながらシフトダウンを完了し、コーナーの入り口から思いっきり加速してドリフトを演じる。
既にコースの半分が砂嵐の様だ。
勝つのは当たり前、いかにアピールして注目を集める事が出来るか、それが今回の使命なのだ。

案の定、観客を始め皇帝まで総立ちで声援を送るのも忘れている。
想像以上の効果だったと思う。
そのままの調子で障害物(戦車)を避けながら全周回数をドリフトで回った。
規定周回数(7周)に達するとゴール地点で停車し、車を降り民衆の面前に立つ。
場内が静かだ。失敗だったのか?一瞬冷や汗が出てきた。
やっと我に帰った観客が歓声と拍手で迎える。
良い見せ物になっただろう。皇帝の眼も馬無し馬車に釘付けだ。
スポンサーとして参加している提督の名前も有名に成るだろう。
少しも収まらない拍手と歓声の中、ろくに走っていない馬達と共にゲートへ戻って行く。
さて午後の次のイベントで成果が決まる。

ゲート下半分が閉じられ、水門が開かれる。
水はまるで大河が決壊した時の様に競技場の地面に浸入する。
競技場の観客は午後までの時間休憩に入るが、その間に次の競技が準備される。
戦艦(ムカデの様にオールが生えた船)による模擬海戦だ。
この船の戦い方は舳先に付いた角で相手の船体を刺し抜くというダイナミックな物だ。
模擬海戦と言えども犠牲者が出ない保証は無い。危険な物だ。
この模擬海戦は手間の掛かる物でそんなには行われなかったらしい。
言わば競技場に湖を作る訳なので終わった後の排水、片付けが面倒だったのだ。
競技場作業員にとっては苦労するイベントだったらしい。
が、小規模ながら戦争を目の前で観戦出来ると言う事で集客力は高かった。
まさにそれが始まろうとしている・・。

競技場が満水になった様だ。
今日はこの船の初運用なので自分が船長に赴く。
2組に分かれた船団がそれぞれ浅瀬の湖と化した競技場に入り配置に付いた。
再び兵士のラッパの音で戦闘が始まる。
各戦艦はわっと広がりお互いに相手の側面に回り込もうとドッグファイトが始まった。
勝手が解らないので少し様子を見る。
相手が近づくと逃げるという事を繰り返していくうちに
勝ち残った船も少なくなって疎らに成ってきた。
そろそろ始めるか?
一隻に狙いを絞り突進をする。
気付いた敵艦はもう避けられ無いと判断し船から乗員が脱出を始めた。
我々は距離を置いたまま特別な攻撃準備を行っていた。
水面に落ちた兵士達はなぜそのまま突っ込んで来ないのか解らずきょとんとしてこちらを見ている。

「第1、第2シリンダーの蒸気供給停止。」「停止しました。」
船は推進用の外輪を止め加速を緩めた。
「蒸気圧力の報告。」「圧力80%・・90%・・」
「弾頭装填!」「装填終了。」
「第3シリンダー弁開放準備。」「準備完了。」
「圧力100%に達しました!」「第3シリンダー弁開放!」
木製のハンマーを蒸気バルブ弁のレバーに振り下ろす。
「開放!」の復唱の直後に船底から落雷の様な轟音が!
その轟音の中に「着弾!」の報告。
さっきまで在った船はどぉ~ん!という轟音と共に水柱と姿を変え、細かい木片が降り注ぐ。
水柱が落ちた跡には真二つに割れた船の残骸がぶくぶくと沈んで行く。
「う~ん、時間が掛かり過ぎる。もっと手前から蒸気圧力を上げてやってみよう。」
「そうですね。」と機関士。よし、次だ。

「第3シリンダー弁閉鎖。」「閉鎖しました。」
「燃焼室バーナー点火。」燃料を燃焼室に噴射し、急速加熱をする。
「圧力上昇中、70、90、100!」
「第1、第2シリンダーへの蒸気供給開始、微速前進。進路10時の方向に転進。」
「進路変更します。」と次の標的に船首を向ける。
が、その船は観客席に接岸し乗員は観客に紛れて逃げ込んだ後だった。
「バーナー停止、圧力開放。中止だ!」
シュ~!という音と共に蒸気の圧力が開放されると竜が火を吹く様に船首から白煙が放出された。
勝負はとっくに終わっていた。
観客はというと歓声と言うより怪物を見たショックで悲鳴を上げていた。
刺激が強すぎたか?取り敢えず蒸気砲のデビューとしては充分だろう。

そこで例の提督の側に付いて居たエレナが口を開いた。
「ホノリウス帝、申し上げます。我々はこの船を即位のお祝いに進呈したいと思います。」
皇帝、側近共々ほぉ~と声を洩らす。
帝国の弱体化が叫ばれている中これは是非欲しい処だろう。
「また我々はこの船を生産しており、今後とも帝国のお役に立てると信じています。」
この役は自分がやりたかったのだが
「あなたの訛ったラテン語で皇帝に話が出来る訳無いでしょう?」
の一言で否定されたのだった。
一呼吸置いてエレナが続ける。
「恐縮ですが帝国の未来に付いて助言を申し上げたい、これからは軍隊の機械化を進め、
ホノリウス帝はゲルマンをアルカディウス帝はペルシャを叩き、
兄弟が協力して再び1っになった帝国を守る事を希望します。
これらが有ればそれが可能だと思うのですが?」
エレナも緊張しているようだ。

口を開いたのは側近だった。
「あぁ、言いたい事は解った、贈物は有り難く頂戴する。が、
帝国が1っと言う事はホノリウス帝に副帝に退けと言っているのと同じ事だぞ。」
エレナも口ごもる。
「えぇ、存じて下ります、それは成人に成った時にでも・・
今後の課題として考えて頂きたいと思います。」と深々と頭を垂れる。
でも側近も考えが有るようだ。
「まぁ、東の帝国(ギリシャ)にこの軍艦が有れば確かにペルシャを叩けるだろう。
だが、北方から陸路で攻めてくる蛮族に対して
西の帝国(ローマ)がそれを使いこなせるかどうかは疑問だ。
今後納得出来る報告が有れば統一した国家として
ギリシャとローマを繋ぐ役目を負っても良いぞ。」
そう、側近もローマの安泰が計れるなら副帝に仕える事も仕方が無いと考えているらしい。

内乱もどきのいざこざが各地で起こっているのを考えれば賢明である。
こちらの方(ローマ市)の方が切迫しているのだ。
しかし現在の段階では蒸気船は陸軍にはあまり役に立てないのは確かだ。
船では川から援護しても防戦一方にしかならなく、戦略的な意味が余り無い。
蒸気砲は数本完成しているが、まだ実戦配備には至っていない。
早く計画を完成させなければ。
大筋ではコンスタンチノープル(ギリシャ)のアルカディウス帝が海軍を
ローマのホノリウス帝が陸軍を支援する案で進んでいる。

今頃アウレス氏とヴァレン氏による皇帝との交渉が
分裂した東ローマ帝国の首都、コンスタンチノープルで行われて居る筈だ。
アルカディウス帝にしてみたら正帝のまま領土が統一されるのだから良い事づくめだ。
失う物は何も無い。
しかも彼らにも蒸気砲装備の戦艦の残りの1台を進呈しているので御機嫌な筈だ。
コンスタンチノープル(現イスタンブール)は
エーゲ海と黒海の狭間に在る山と海に囲まれた難攻不落の要塞都市だ。
1000年後にオスマントルコ海軍が船を山越えさせ金角湾に入る奇襲に出なければ
コンスタンチノープルがイスラム教徒の手に落ちる事は無かっただろう。

例の蒸気戦艦は既に帝国から20隻の受注が有り、既存の工場では間に合わ無くなっていた。
しかし皇帝は労働者、資金等を全面的にバックアップしてくれ、
軍の兵器工場もこの為に使用出来る事になった。
生産ラインを他に移した結果、また新しい企画がスタート出来る。
現在進行中なのは攻城機(門を破る機械やカタパルト等)の様に
車輪の付いた台車に蒸気機関一式を載せ、蒸気砲を陸戦に使用出来る様にする物だ。
船に載せた物より小型化を果たしては居るが、まだまだ大きい。
機関士が戦闘中に安心して作業出来る様に周りを板で囲んだ結果、
角の生えた亀の様な物に成ってしまった。
ホノリウス帝から出た宿題をやり遂げたと言う意識が今一つ無かった。

ローマのホノリウス帝と違って
キリスト教都市コンスタンチノープルのアルカディウス帝の場合は
無条件で我々を受け入れたので海賊が撲滅されるのも時間の問題だろう。
ガリア州の提督も皇帝から大金を賜った様で御機嫌だったと聞いている。
我々はと言うとちょっとケチが付いたので式典を開いて歓迎される様な大袈裟な事は無かった。
でも港では帰るや否や祝福を大勢の人から受け、やった事が評価されて嬉しかった。
マッシリアから戻ったヴァレン氏が合流し再び忙しい開発の日々が始まった。
エレナとは常にプラントで一緒なので気心も知り合え、
仕事上でも良きパートナーで有ると認識している。
以前よりもっと親密に成ったであろうか?

しかし、初対面の頃から好意的なエレナだが最近はいつもビジネスライクな対応だ。
会話も殆ど仕事上の事ばかりに限られてしまっている。
愛想は良いのだが、仕事に打ち込んでいる結果であろうか?
または愛想をつかされたのだろうか?
ここはちょっと思い切った事をして気持ちを確かめなければ。
何時もの様に皆が就寝した頃、自分は2階の寝室から屋根裏部屋の物置に向かって居た。
家の者は皆床に着くと部屋のドアに閂を掛けてしまうので、
窓から進入しようと言う計画なのだ。
また、今は初夏なので蒸し暑い夜は涼む為に窓を解放している筈だ。
間違い無くベランダからなら部屋に入れるだろう。
そしてエレナの気持ちを確かめるのだ。
悲鳴を上げられたり、拒否されたらどうしよう?
だが何もしなければ進展はしない。
例えそれが悪い方向にでも。

屋根裏部屋の窓から屋根の上に出る。
上がってみると思ったより傾斜がきつい。
まず梯子のフックを屋根の笠木部分に引っかけ恐る恐る屋根の端に降りて行く。
足を滑らしたら止める事無く地面まで転げ落ちてしまうだろう。
屋根の端までたどり着いた。
身を乗り出して軒の下の方を見下ろすと4m位下にベランダが見える。
よし、真下だ。
ロープを梯子に結び後ろ向きに後ずさりながら軒の下へ足を伸ばす。
足でロープの結び目を挟みながら一歩一歩降りて行く。
緊張の余り脇の下等は汗でびっしょりだ。
長い時間に思えた作業も終わりやっとベランダに着くと、
解放してある窓から部屋に入り、声を掛ける。
「エレナ?」返事が無い。寝息がまだ聞こえる。

僅かな星明かりの中、部屋の奥へと進むと「バン!」と何かが頭に当たった。
天井から吊った凧だった。
部屋を間違えた!これはマルコの部屋だ。
なんと隣の部屋のベランダまでは3mは離れている。
飛びついて届く距離では無い。
ロープを投げるとフックが手摺の付け根である下の方に引っ掛かったので
こちらの手摺の高い位置にロープを縛る。
そして向こう側の低い方へ足からゆっくりと降りて行く。
ベランダの間にぶら下がっていると涼しい風が下から吹き上がる。
落ちたら死ぬだろう。足が向こう側の手摺に接触して安心した途端、
なんと今迄居た手摺のロープの結び目が解けてしまった!

心臓が止まるかと思われた一瞬の後、
視界は上下逆になり自分が逆さ吊りになってしまった事を知った。
進退極まれり!足で手摺を探って爪先を引っかけると
渾身の力を込めてロープを引き寄せ上半身を起こすのに成功する。
足も腕ももう体力の限界を越え、痙攣をはじめた。
自分でも情けない位にガクガクと抵抗する手足を操って何とか手摺に到達しそれを跨ぐ。
「誰なの?!」
とエレナが短剣を持って出てきた。
「あぁ?アンディなのね!」と飛びついて抱擁するエレナ。
だが自分にはその勢いを受け止める体力も既に無く、そのまま床に倒れ込んだ。

自分の部屋に戻り生きているという実感を噛みしめながらバスタブで寛ぐ。
死への恐怖から一転してエレナとの至福の時。
何度も思い出す度に嬉しさのあまり顔が緩むのが分かる。
夢と現実の間を漂い、気が付いたら東の空が白みだしてきた。
湯船で寝てしまったようだ。早速着替えて食堂へと降りる。
こんな時に限って家族全員が揃っている。
エレナの正面しか席が空いていない。
「どうも。」と声を掛け席に付く。
エレナはというと平静を保ってはいるが、目は笑っている。
俺も昨夜は幸せだった。
俺も不覚にも皆の前で微笑んでしまった。
何を話すでも無く、気まずい朝食を始める。
皆が食べ始めた頃、マルコが口を開く。
「アンディ、昨夜は3階に遊びに来たの?」
誰の目にも向かい合って座っている2人の赤く染まった顔は不自然だった。

ヴァレン氏の工場では西の帝国ホノリウス帝の宿題を解決する為、
蒸気機関生産がようやく始まり幾つかは帝国に納品したところだ。
これには陸戦専用として対歩兵用にナパーム弾頭を用意した。
着弾した後、飛び散り火の海になるのだ。
蒸気戦車はこちらの期待とは裏腹にもっぱら「亀」と呼ばれた。
確かに重量が嵩み荒れ地等では早く移動出来ないのでなかなか汚名返上が出来ない。
しかし陸戦においても機動性は重要だ。
破壊力に勝る蒸気戦車はこれで良いとしても新しい戦法、技術が必要かも知れない。
偵察用部隊の必要性も考えられるので
目下、造船技術者を集めて全く新しい陸戦用兵器の開発を進めている。
極秘プロジェクトなのでなかなか人目を盗んで技術的検証を行えないのが歯がゆい処。

実は最近ホノリウス帝から催促の手紙が来たのだ。
期待に沿うように進行中です、とは報告をしたのだが
皇帝は最近ある事件が起きて不安に成っているのだ。
それはライン川国境の帝国側領土内のゲルマンーフランク族の居留地に
別の種族が進入をしていると言うのだ。
元々フン族に押し出されたフランク族を帝国領土内に受け入れ、
自治区として居留地を認めているのだが、そこへ別の種族が流入して来たのでは内紛は必死だ。
最悪の場合、別の種族共々フランク族が帝国の中心地目指して移動する事もあり得る。
今、帝国内で軍隊(傭兵)を構成するフランク族に内紛が起こったら致命的だ。
西の帝国もそれを危惧しているのは間違い無い。
早く開発を終了せねば!

誰にも相談はしていないが、もう一通手紙がある。
これも非常に重い内容で悩んでしまう。文面はこうだ。
「前略、アンディ君、貴殿の活躍は目ざましくアウレス家としても恩恵に預かり感謝している。
君の前途は非常に明るい。処でこちらの勝手なお願いだが考えておいて欲しい事がある。
それはアウレス家の内情を察して頂けると思うが、是非、君にアウレスの姓を名乗って欲しいのだ。
若い男の世継ぎが居ない以上一族の将来を考えると養子を取るしか方法が無いのだ。
君を見込んでお願いしたい。返事は急がない。良く考えて決断して欲しい。オクタヴィウス・アウレス」
エレナには聞いていないが、これの意味する事は一つである。
手紙を見直す度に悩んでしまう。
まさかエレナはこの事を知っているのであろうか?
しかし、これはエレナとの関係以前にアウレス氏の切実な願いに聞こえてならない。
本心だろう。

だが、自分はこんな事をしていて良いのだろうか?
大体自分は此処の時代の人間ですら無い。
また将来的に此処に留まって人生を全うするかどうかの保証も無い。
個人的な問題ならさして悩まないのだが、
自分の置かれている状況があまりに特殊で判断が付きかねるのだ。
もし、21世紀に戻れる機会が有れば自分は戻るだろうか?
確かに以前は躊躇無く「帰る」と返事をしただろう。
だが人生とは人と共に生きる事。
此処へ来て僅かな時しか経験していないが、やり残した事が多過ぎる。
今、21世紀への扉が開いてもそこへ踏み出すかどうかは分からない。
自分に本当に大切な物が何か解らなくなって来ている。

続く