和歌山から 名古屋市内ゆき | 菅沼天虎の紙屑談義

菅沼天虎の紙屑談義

交通機関を利用する為の切符・・・一般の方々にとっては使い終わってしまえばタダの紙屑で、最後は係員に渡して終わりになるモノです。
そんな紙屑に夢中になってしまった大馬鹿モノの戯言にお付き合い下されば幸いです。

昭和48年7月に紀勢本線和歌山駅で発行されました、「和歌山から 名古屋市内ゆき」の常備片道乗車券です。

 

 

大阪印刷調製の券となります。

 

和歌山から名古屋への最短経路は、和歌山線、桜井線、関西本線経由の239.7kmで、この乗車券の経路ですと440.8kmとなって200kmも遠回りする経路となります。

 

当時、和歌山から名古屋への直通列車は、最短経路の和歌山線、桜井線、関西本線経由で運転される急行「しらはま1号」が1本、この乗車券の経路の紀勢本線、関西本線経由で運転される列車は、特急「くろしお2号」、急行「紀州5号」と夜行運転の普通列車924列車の3本が運転されており、最短経路よりも直通運転する列車が多いのですが、乗換えを嫌って200km以上も遠回りするとは思えませんので、紀勢本線の途中駅に所要のある名古屋までの旅客が購入したものと考えられます。

 

この乗車券の発行日は昭和48年7月24日で、昭和48年9月1日開業の伊勢線(現、伊勢鉄道)の1ヶ月余り前であり、経由は「井田川経由」で亀山回りとなりますが、伊勢線開業で津~河原田間が経路特定区間となったため、この乗車券も伊勢線経由の新しい券に切り替わった可能性が高いと思われますが、伊勢線経由は亀山経由より9km短いため、キロ程は431.8kmとなって運賃表の421~440km帯の適用となって、運賃は1810円とワンランク安くなった事になります。