昭和60年5月1日に廃止となった、京都府の「加悦鉄道」の車内補充券です。
自社地紋で、券面中央には加悦鉄道の社章が大きく印刷されています。
左側から2行目までは国鉄線、その右側の行には加悦鉄道線の駅名が記載されており、国鉄線の行の上の欄には「駅から」、加悦鉄道線の駅名の上の欄には「まで」と表示され、接続駅の「丹後山田」は記載されておらず、また下段の列車番号の欄が、丹後山田から加悦方面への下り列車の奇数番号しか記載されていない点から、この車内補充券は、国鉄線から加悦鉄道線への乗車変更、または国鉄線内からの無札旅客に対して発売するために設備された券と思われます。
そうは申しましても、この券は社線内のみの丹後山田から高校前(加悦谷高校前)までの大人32名で発行されており、本来の用途とは異なる原券欄に発着区間を記入し、32名分を合算した運賃が領収額欄では対応出来ないため、欄外と券面中央に記入されています。
同社には社線内用の車内券が別に設備されておりましたが、車内券を一度に32枚も発行するのは大変な手間ですから、本来の用途とは異なった券を用いて、代用的な発売を行ったものと推察されます。