東武鉄道では、急行券・特急券と同時に発売する乗車券には「○急」の表示を行なう事となっておりますが、硬券時代には裏面に「○急」が印刷された専用の乗車券が存在しておりましたので、今回から数回に分けてご紹介してみたいと思います。
◆同一券面で、通常券と「○急」券の双方の券を設備していた例。
裏面に「○急」の表示の無い、通常の乗車券です。
こちらは裏面に「○急」の表示がある急行・特急券用の専用券です。
双方の券とも表面の記載は同一で差異は見られませんが、裏面の「○急」表示の有無のみが異なっています。
◆同一運賃区間で、表面の着駅表示が異なる例。
通常券で、着駅は同一運賃の最遠駅となる「業平橋ゆき」表示です。
「○急」券は「北千住/業平橋間ゆき」と共通着駅表示となっています。
同一運賃の最遠駅となる「業平橋」には急行・特急とも停車しないため、「○急」券には同一運賃区間の急行・特急停車駅である「北千住」も表示したものと思われます。
こちらは「○急」券のみの図示ですが、着駅が急行・特急通過駅の単駅表示となる例です。
着駅が同一運賃区間最遠駅の「堀切」表示となっております。
「堀切」は急行・特急通過駅ですから、本来であれば鬼怒川温泉発の券のように同一運賃区間の急行・特急停車駅である「北千住」も表示して、「北千住/堀切間ゆき」と共通着駅表示とすべきものと思われます。なお、当時の館林駅では同区間ゆきの通常券はすでに券売機発売のみで、硬券で設備されていた乗車券は「○急」券のみでした。
◆同一運賃区間で、券の様式が異なる例。
通常券で、金額式となっています。
一方の「○急」券は一般式となっています。
金額式など一般式以外の様式の券で裏面に「○急」が印刷された券は未見ですので、「○急」券は乗車距離にかかわらず様式は一般式で設備されていたものと思われます。
次回は他駅発行となる券をご紹介いたします。