私たち、アメリカに住む日本人は、よくこう言います。
アメリカ人ってこうだよね、とか
でも日本はこうだよね、と。
個人を見るのではなく
目に見えることを抽象化そして断定することで
人は現象を都合の良いように理解しようとする傾向があります。
私がアメリカ滞在から帰国して4年以上がたった高校生の頃
私はやっと英語ができるようになってきて
それなりに楽しく英語を学び始めた頃でした。
オーラルコミュニケーション(昔はこんな科目もありましたね)の
授業中に同期の友人にこう言われたのです。
「いいよな、みとのやは帰国子女で」と。
彼は生まれも育ちも日本。
英語習得はスランプに陥り、大変苦労していました。
そして、隣では楽しそうに英語を学習している私。
彼からしてみたら、
私が英語を楽しく学習している理由は、帰国子女だから
ということになるのでしょう。
私は授業中だったので、言い返さずにグッと拳をにぎって気持ちを押し殺していました。
しかし、そんな彼の発言を聞いた英語の先生はこう言ってくれたのです。
「帰国子女がうらやましい、というなら、君もアメリカに行って勉強してくればいい。それがどれだけ大変なことか。帰国子女だから英語ができる?英語ができない帰国子女なんかたくさんいるんだよ」と。
私は心の底から安心したのを覚えています。
分かってくれる人がいる、それだけで人は勇気づけられるものです。
帰国子女が英語ができる理由
それは、異文化の中でも楽しもうとする精神的な強さと
英語学習に対する絶え間ない努力があってこそです。
バイリンガル教育を受けている子供たち全員に言えることでしょう。
巣鴨アドバンススクールに来ている永住生の子たちも
彼らが子供の頃からバイリンガル教育を受けているから
バイリンガルになるのではなく
彼らが絶え間ない努力をしているから
バイリンガルになれるのです。
帰国子女だから、バイリンガル教育を受けているから
そんな環境的なことだけで、英語も日本語もできる人材に成長できたら苦労はありません。
そういう環境の中でへこたれずに、血のにじむ様な努力をするからバイリンガルになれるのです。
しかし、人は自分の都合の良いように現象を見ます。
決して、自分の努力が足りないから自分は英語ができないんだ、とは思いたくないものです。
帰国子女、バイリンガル
彼らには心ない周りの雑音に惑わされずに
自分を認め、自分の進みたい道を突き進んでもらえたらと思っています。