帰国子女の特権:弱者になれること | みとのや先生日誌:元帰国生だから言える事

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アメリカオレゴン州、ワシントン州にある学習塾巣鴨アドバンススクール(www.sugamoadvance.com)で日々子供達と奮闘中です。

先日、生徒の小論文の授業をしていて

アメリカに来て何を学んだのか、というトピックについて議論しました。


その子がアメリカで学んだことをブレインストーミングをしていたのですが

日本と比べてアメリカの空が広かったことだったり

色々な言語が使われているのを実際に耳にしたり

色々と話題に上がった後に

良いトピックが彼女の口からでてきました。

自分の弱さを知った、と。


私はそれだ!と確信し

彼女に対して突っ込んで行きました。


日本では、成績も問題なく

友達もたくさんいて

何も苦なくやっていたけれど

中学生でアメリカに来て

初めて、自分は何も知らないこと

何も出来ないこと

自分の弱さを知った、と言うのです。


本当に興味深い議題になりました。


私も全く同意です。

弱者の立場に立てる

これこそ帰国子女の特権だと思います。

お母さんお父さんは

保護者の立場として、子供に肩身の狭い思いをさせて

申し訳ないと思うのかもしれませんが

人は苦労してこそ、人の優しさを感じることができるのだと思います。


私自身、色々な帰国子女の子たちと触れていて思うのは

皆、本当に心が敏感だな、ということです。


それはやはり

弱い立場を経験しているからではないでしょうか。

先生が言っていることが分からない。

友達が言っていることが分からない。

言語がわからないということは、全てにおいて不利な状況に追い込まれる。

またそんなときだからこそ、人の温かさや冷たさも肌で感じることができる。


もし日本で生まれ、日本で育っていたのであれば

言語がしゃべれない弱者の立場は経験しなかったことでしょう。

そういう苦労があったからこそ

人の痛みが分かる土台が確立しやすいのだと思います。


帰国子女の特権

バイリンガルになれることでも

アメリカで優雅な生活を送れることでもなく

弱者になれること

これこそ、本当の特権だと思います。