詰め込み教育を受けられないかわいそうな帰国生 | みとのや先生日誌:元帰国生だから言える事

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アメリカオレゴン州、ワシントン州にある学習塾巣鴨アドバンススクール(www.sugamoadvance.com)で日々子供達と奮闘中です。

詰め込み教育と聞いて、皆さんはいったい何を思い浮かべるのでしょうか?

わけも分からず年号を覚え、公式を覚え、そしてテストの点数に神経質になっている子供たちの姿でしょうか?

一時期のマスコミの影響もあり、詰め込み教育はいけない、という風潮がありました。

だからこそ、詰め込み教育は終わり、ゆとり教育の時代になった、と。



私もつめこみ教育は悪である、そう思ってきました。

しかし、実際に子供たちと接する中で、私は逆に、詰め込みさせてもらっていない子供たちのほうが、かわいそうなのではないか、と疑問を持ち始めました。

詰め込みとはいったい何か?



私はアメリカで大学教育を受けました。

その教育の前提となるもの、それは、詰め込みでした。

政治学の授業においては、年号、事件、内容、関連性、全てを頭の中に叩き込み、それを基にクラスで議論しあったのです。

テストともなれば、詰め込んだものを、そしてクラスで議論したことを、最低2時間、最長4時間もの間、文書を書き続けなければいけなかったのです。

ブルーブックという何ページもあるエッセイ用ノートを2冊以上書き上げるのがノルマでした。



詰め込みなくして、議論もテストも何もありません。

アメリカの高等教育が世界ナンバーワンと言われる所以の一つは、詰め込み教育です。



中学受験の生徒は、どこまでも詰め込み教育についてきます。

何が何年におきて、次に何がおきる。

その中でこそ、二つの出来事を関連付けることができ、時代背景にまで関心が行くのです。

算数においても、中学受験に必要とされる、つるかめ算などの~~算。

彼らは、はじめは公式も与えられず、とにかく20分近く自分たちの力だけで問題を解かされます。

そして、つるかめ算という方法を手に入れたときの彼らのうれしそうな表情。

これだけで、受験生と、非受験生では算数に対する関心に差が生まれてきます。



しかし、保護者の方のなかには、詰め込み教育をしたら子供がかわいそうだ、子供はもっと子供らしく遊ばせるべきだ、という意見をお持ちの方もいらっしゃるようです。


では、子供らしさとは、いったいなんでしょうか?

日本の受験生は、子供らしくなく、かわいそうなのでしょうか?

彼らは、学校に行き、一日中勉強をし、その後、部活、そして、塾へときます。

彼らはかわいそうでしょうか?



私はそうは思いません。

小学校時代から、何かの目標に向かって精一杯、自分の力を発揮する。

一つの目標のために、苦労に苦労を重ねる。

ましてや、学力というのは正直です。努力をしたぶんだけ、結果としてでてきます。

中学受験、高校受験を経験した生徒は一段と人間として成長します

こんな機会を持てる日本の小学生・中学生は本当に恵まれていると思います。


逆に、何の目標も持たず、家ではテレビ、ゲーム、漫画との日々の子供たち。

彼らの方が、「かわいそう」なのではないでしょうか?


子供たちがのんびりとプール遊びをしている間、日本の受験生は、日々黙々と勉強しているのです。

そして、そのつけを日本に帰国後、より厳しい環境で払わなければいけないアメリカの帰国生。

本当にかわいそうなのは、いったい誰なのでしょうか?