総理就任後初の外国訪問として、本年のアセアン議長国のベトナム、そして、人口、GDP、面積ともにアセアン域内最大を誇る、インドネシアを訪れました。我が国とアセアンは、長年の友人として、また、対等なパートナーとして、発展の道を歩んできました。

 

今回、両国との首脳会談においては、アセアンと日本で、インド太平洋地域の平和で繁栄した未来を、共に創り上げていきたいという思いをお伝えし、そのために具体的な協力を進めていくことで、一致しました。

 

1、人的往来の再開

日本とアセアンが互いに連結性を高めていくことは、この地域の経済的繁栄、ひいては、「自由で開かれたインド太平洋」の礎となります。

今回、ベトナムと双方向の定期旅客便の再開に合意しました。さらに、ビジネス目的の出張者などの往来を活性化させる「ビジネストラック」について合意しました。

インドネシアとも、検査を前提に、入国後すぐにビジネス活動が可能となる往来の早期再開に向けて、調整を開始します。

 

2、サプライチェーンの多元化

今回の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、我が国のサプライチェーンの脆弱性が明らかとなりました。

この夏から日本企業の生産拠点の多元化を後押ししており、その第一弾として、アセアン諸国で30件の生産設備の新設や増強を支援します。

 

3、インフラ整備

インド太平洋全体、そして日本とを繋ぐ、インフラの強化を進めていきます。

インドネシアでは、日本企業の多くが立地する工業団地の新たな物流拠点として、円滑な物流ルートを築くために、パティンバン港の建設を支援していきます。

首都ジャカルタ市内の都市鉄道網の導入支援などにより、インドネシア国内の交通アクセスの改善に貢献します。

ベトナムでは、ホーチミン市内で初となる都市鉄道について、先週、日本製の車両が到着し、来年の開通を目指します。地域の連結性を一層高めていくため、来年の日メコン首脳会議でも、フック首相をはじめメコン諸国の首脳たちを日本に迎え、そのための施策についてしっかりと議論したいと考えています。

 

4、安全保障協力

我が国とアセアンを結ぶ海上交通の舞台となるインド太平洋では、自由で、誰にでも開かれ、法の支配が貫徹されて、はじめて、地域の平和と繁栄が実現します。しかし、南シナ海においては、逆行する動きが起きており、懸念を持って注視しています。

日本は、南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも反対します。

南シナ海を巡る問題の全ての当事者が、力や威圧によるものではなく、国際法に基づき、紛争の平和解決に向けて努力することの重要性を、改めて強調します。

日本は、そのために、今回訪問した2か国を含む、アセアン諸国に対し、取締船の供与などを通じて、違法漁船の監視や取締活動の支援を引き続き行っていきます。海上保安庁の豊富な経験と実績を活用し、人材育成に大きな役割を果たします。

また、我が国及び地域の平和と安定を確保するため、ベトナムとは、適正な管理の下で、我が国の防衛装備品や技術を移転するための協定に実質合意しました。インドネシアとも、協議を加速化していくことで一致しました。

インドネシアとは、東南アジア唯一の外務・防衛閣僚級会合、ツー・プラス・ツーの早期開催に合意しました。

 

今回は、総理就任後ほどなくしての訪問であり、準備の時間が限られた中で、両国からは最大限の歓待をお受けし、友人であり、戦略的パートナーであるアセアンとの信頼関係を一層深めることができました。

今後とも、私自ら、首脳外交を展開し、ベトナム、インドネシアをはじめアセアン各国と緊密に連携しながら、「自由で開かれたインド太平洋」を着実に実現していくとの決意を新たにしました。

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