今週、「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」を発足させました。

10月の台風第19号をはじめとした一連の記録的な豪雨は、東北、関東甲信越を中心とした広範な地域において大きな被害をもたらしました。
「地下神殿」と呼ばれる首都圏外郭放水路や日産スタジアムのある鶴見川多目的遊水地など、今まで積み重ねてきた治水対策が効果をあげた一方で、
中上流域を中心に71河川の140カ所で堤防が決壊して洪水が発生した地域の被害は甚大なものとなりました。

近年、災害につながる広範囲な大雨や局地的豪雨は増加傾向にありますが、堤防のかさ上げやダムの新設には多大な費用と時間がかかります。
そこで今回、既存のダムの運用を変えることで洪水被害の軽減を図るための検討を始めることとしました。

我が国には、国交省が所管するいわゆる多目的ダムは約560あり、ほかにも電力や農業用水などの利水ダムが約900あります。
こうした全てのダムの貯水容量のうち水害対策に使える「洪水調節容量」は3割にとどまっています。
大雨に備えて利水部分の一部を前もって放出する仕組みも充分に整っていません。

この会議において、国内1460の全てのダムの運用を検証し、洪水調節機能を早期に強化していきます。
まずは、国交省を中心に関係省庁において、利水容量を洪水調整に利用できるよう、水系ごとの「工程表」を作成し、
来年の夏には、水系ごとに既存ダムを最大限活用した新たな運用を開始できるよう検討を進めます。
国内全体の治水機能が強化できるようあらゆる手を尽くし、政府一丸となって取り組んでまいります。