先月、森林経営管理法が成立しました。
森林バンクを創設し、意欲ある経営者に森林の集約ができるようになります。
これまでの林野行政を大きく展開する、戦後以来の大改革です。

日本は、国土面積の3分の2が森林で覆われている世界でも有数の森林大国です。
高度成長期に植栽されたスギやヒノキなどの人工林が大きく育ち、50年超のサイクルを経て、伐採の適齢期を迎えています。
木材の自給率も34.8%と30年ぶりの高い水準に達し、これまでの森林を育てる時代から「伐って、使って、植える」という森林を利用していく政策への転換が必要となっていました。
一方で、国内の林業は、木材価格の下落が長期にわたり、伐採などの手入れや管理が十分に行われていない森林も多く見られます。
このままでは、貴重な資源が活用されないばかりか、土砂災害や水害の防止、地球温暖化対策といった森林の多面的機能が充分に発揮されません。

成立した法律では、新たに「森林経営管理制度(森林バンク)」を来年4月からスタートさせます。
森林バンクでは、森林所有者が自ら管理できない森林を市町村に集積させ、そのうち林業経営に適する森林は、意欲と能力のある林業経営者に委託して伐採、再造林を進めます。
条件が不利で林業経営に適さない森林は、来年4月から導入予定の「森林環境譲与税(仮称)」を活用して市町村が公的に管理を行っていきます。
「森林バンク」の活用により、これまで放置されていた森林が経済資源として活用されることになり、「稼げる林業」となることで、経営者も収益を向上させ、地域の経営や雇用の安定につながることが期待できます。
森林の手入れがなされることで防災機能が確保され、地域の安全・安心な暮らしにも繋がります。
先祖から受け継いだ郷里の森林が管理できていない森林所有者にとっても、仲介役となってくれる市町村に安心して森林を預けることができるようになります。

各国が自国の資源を戦略的に活用している中、日本においてもこの「森林バンク」を通じて森林資源を有効に活用し、次世代に豊かな森林を引き継げるよう、政府として全力で取り組んでまいります。