先週、アメリカやカナダ、オーストラリアなど12カ国が参加する、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の交渉が大筋合意に達しました。
TPP協定は、参加国の合計で、世界のGDPの約4割、人口の1割強を占め、巨大な地域で「一つの経済圏」を構築するものです。
関税のみならず、投資、サービス、知的財産、電子商取引など、貿易や経済活動に関わる幅広い分野に及びます。
これからの世界のルール作りに大きく影響を与えるものであり、日本が主導して合意に導いたことは大きな成果です。
私は常々、TPPは成長戦略の中で、最も遠くまで届く滞空時間の長い「矢」だと申し上げてきました。
資源のない日本にとって、国を豊かにしていくために、これまでと同様、貿易をはじめとする国際的な取引はこれからも非常に重要です。
同じ条件で世界と競争すれば必ず勝てる。
私は、日本はそういう国であると確信し、その環境をつくることが政府の役割だと考えています。
工業製品については我が国から参加11ケ国への19兆円の輸出額の99.9%の関税が撤廃されることになります。
TPPによって、参加国内では同じルールのもとに、ヒト、モノ、資本がより自由に行き交うことになり、中小企業を含め、日本企業にとってチャンスが広がります。
肉や野菜や果物など多くの輸入品を安く手に入れることができるようになり、消費者にとっても大きなメリットがあります。

農林水産業に与える影響に不安の声がありますが、影響を受ける分野には必要な対策を講じます。
一方、我が国の農産物は、その高い品質と安全性のために世界でも高い評価を得ています。
日本の農業は、世界に目を向け、発想を切り替えることで大きな成長の可能性を秘めているのです。
安倍内閣では「守る農業」から「攻める農業」に転換するため、減反廃止や農協改革など戦後以来の農政の大転換を進めてきていますが、この機会に、若い人が夢の持てる農業とするために万全の対策を講じていきます。
こういった広範にわたるTPPの効果は、これから丁寧に分析して、国民に分かりやすく説明していきます。

TPP協定を最大限に生かし、日本経済の成長、地方創生につなげるよう、政府を挙げて取り組んでまいります。