昨日、安倍内閣は、北朝鮮が特別調査委員会を立ち上げ、拉致被害者などについて包括的で全面的な調査を開始することになったことから、
今年5月の日朝合意に基づき、「行動対行動」の原則に従い、北朝鮮に対する日本独自の制裁の一部を解除することを決定しました。
安倍内閣としては、この特別調査委員会について、国家的な決断と意思決定ができる組織が前面に出て、かつてない態勢ができたと判断したのです。

この特別調査委員会については3つの重要な点が挙げられます。
第一に、北朝鮮の最高指導機関である国防委員会から、「全ての機関を調査する特別な権限」が与えられていることです。これは日本側が最も重視した点です。
しかも、特別委員会の委員長には国防委員会及び国家安全保衛部の幹部であり、副大臣級の人物が任命されています。
第二に、拉致被害者、行方不明者、日本人遺骨問題、残留日本人・日本人配偶者といった、対象ごとに分科会が設けられ、全ての分野を同時進行で進めることです。
もちろん、日本側が最重要視する拉致問題が置き去りにされぬよう、しっかり北朝鮮側による調査の進捗を把握して参ります。
第三に、北朝鮮は、調査期間について、私が1年以内と発言したことも留意して、迅速に行う考えであると説明していることです。

日本が解除する制裁の概略は、(1)北朝鮮との人的往来、(2)北朝鮮向けの送金報告の義務付けや現金持ち出しの届け出、(3)個人向けの食料、衣料品、医薬品といった人道物資の輸送に限った北朝鮮の船舶の入港に関する三つです。

拉致、核・ミサイルを包括的に解決する、そのために米国はじめ国際社会と協調していく姿勢はこれまで通りです。
今回の日朝協議においても、日本側は先般の弾道ミサイル発射に関し厳しく抗議を申し入れしました。
国連決議に基づく制裁はこれまでと変わりません。
拉致問題は我が国特有の、極めて重要な人道問題であることから、その解決に向け、我が国が独自に課していた制裁の一部に限り今回解除することとしたものです。

第一回目の報告は夏の終わりから秋の初め頃が望ましいことは北朝鮮とも共有しています。
今後、調査の進展を厳しく見極め、安倍内閣の最重要課題である拉致問題の一日も早い解決に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。