先週、日本銀行は黒田東彦新総裁就任後はじめてとなる金融政策決定会合で、新しい量的・質的金融緩和策を打ち出しました。
この決定を市場も評価して、円相場は約5年ぶりとなる1ドル99円台、日経平均株価も4年9カ月ぶりとなる1万3500円台を記録しました。

これまで日本経済は過度な円高、長引くデフレに苦しんできました。
リーマンショック後、円高が急激に進み、1ドル80円を切る状態が続きました。
これでは国内企業は競争力を失い、日本への投資は減り、雇用も失われてしまいます。
デフレ下では物価の下落が、雇用減や賃金低下を招きます。
日本経済はこの苦境にあえぎ、景気回復の糸口をつかめずにいました。

リーマンショック後、ドルは3倍、ユーロは2倍といったように、諸外国の中央銀行が通貨供給量を大幅に増やす中、日銀は円の供給量をほとんど増やしませんでした。

これまでの日銀の政策は、円高・デフレに対し、あまりに不十分であったのではないか。
安倍総理は、総理就任の1年以上前から研究を重ね、日本経済を再生させる「大胆な金融政策」の構想を練ってきました。
昨年の11月に野田前総理が解散を表明した翌日、安倍総理は「無制限」の金融緩和に言及してから一気に今日に至る円安・株高が始まるのです。

安倍内閣が発足してすぐに「大胆な金融緩和」に着手し、1月には初めて物価安定目標を盛り込んだ日銀との共同声明を出しました。
3月には、国会がねじれる中で与党はもちろんですが野党の協力も得て、安倍総理と考えを同じくする黒田新総裁、二人の副総裁を誕生させることができました。

新体制の日銀は、
物価安定の目標は「2%」、
達成期間は「2年」を念頭にできるだけ早期に、
資金供給量は2年間で「2倍」に、
国債保有額・平均残存期間は2年間で「2倍以上」
という、わかりやすくて市場へのメッセージ性も高く、まさに次元の違う「大胆な金融政策」と言える決定をしました。

解散表明前から株価は5割以上値上がりし、日経平均の時価総額は約140兆円増えています。
報酬を増やす企業が出始めました。
日本経済に見え始めた明るい兆しを確かなものにし、雇用と所得を増やさなければなりません。

そのためにも三本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」に全力を挙げているところです。
昨日にはTPP交渉参加に向けた米国との事前協議で合意に達しました。
日本経済の再生に向けて、ひとつひとつ着実に結果を出せるよう力を尽くしてまいります。