今日、今年の通常国会が閉会します。
大幅に延長されて229日間という戦後3番目に長い国会でしたが、内閣提出法案の成立率はわずか58%で、戦後最低を記録した鳩山内閣の55%とほとんど同じです。

自民党政権下ではねじれ国会でも約90%成立していましたから、民主党の政権運営の稚拙さは際立っています。
今国会でも、内閣が提出した法案を、与党である民主党が成立させようとしないことが何度となく見られました。
それが最も如実にあらわれたのが、原子力規制委員会の国会同意人事の採決見送りです。

福島第一原発の事故の教訓から、原子力発電所を監督する体制を改め、政府から独立性の高い原子力規制委員会を設置する法律が与野党の合意により成立していました。
自民党は速やかに新組織を発足させるために、早期の国会同意が必要であるとの立場でした。
しかし、政府が提案した人事案に対して、与党である民主党内に反対する議員が多く、分裂を恐れた与党によって採決が見送られました。
このため原子力規制委員は、法律の「特例」を使って総理大臣の権限で任命されることになり、新しい規制組織はいきなり不正常な形で発足することとなってしまいました。
さらに、このあおりを受けて、空席となっているNHKの経営委員や、9月で任期が切れる公正取引委員会委員長の人事案は提示すらされていません。

赤字国債を発行するための特例公債法にしても、本来ならば予算案と一緒に通過させるべきです。
3月に予算だけ成立させた時には、民主党は自民党の修正提案に見向きもしませんでした。
衆議院の一票の格差の是正も現実的な案を提示しようとしないのも、党内事情によるものです。
野田総理はリーダーシップを発揮せず、成立しないことがわかっていながら強行採決に踏み切りました。

綱領すら持たない民主党は、マニフェストが総崩れとなったことで、今や政策の軸が何もなくなり、ただ権力に寄せ集まっているだけの集団と化しています。
目指す国家像や基本的な方針すら共有していませんから、あらゆる政策に異論が噴出します。
野田総理が二枚舌を使って、民主党内向けと野党向けに違うことを言うような状態では、与野党の信頼関係など築けるわけもありません。

民主党が政権にある限り国益は損なわれ、国力が低下します。
日本を立て直すためにも、一日も早く国民に審判を仰ぐことを求めてまいります。