一昨日、厚生労働省から2011年度の医療費が公表されました。総額は前年から1兆1500億円増えて37.8兆円となり、過去最高を9年連続で更新しました。
中でも70歳以上の医療費が44.9%を占め、一人当たり医療費を見ても70歳未満が17.9万円なのに比べ、70歳以上は80.6万円、75歳以上は91.6万円です。
日本はこれから高齢化がさらに進展し、私のような団塊の世代が10年後には70歳を超えます。
財政が厳しい中、どのように負担を分かち合い、国民生活の基盤である医療制度をいかに維持していくか、絶え間ない見直しが必要です。

自民党は、限られた財源の中で世界に冠たる国民皆保険制度を守るために、党内で激論を交わしながら、不人気政策にも取り組んできました。
後期高齢者医療制度の創設も、将来にわたって持続可能な社会保障制度を作り上げるためです。
診療報酬の削減といった医療費の抑制に取り組んだ上で、足りない財源を消費税増税という形で国民に負担をお願いするという道筋を描いていました。

しかし、こういった自民党の政策を批判して政権の座についた民主党によって、日本の医療政策は停滞してしまいました。
「廃止する」とマニフェストに掲げていた後期高齢者医療制度について、実現可能な案を作れていない上に、撤回もしようとしません。
バラマキ政策によって財政は悪化し、医療の将来をさらに厳しい状況に追い込みました。
医療の将来を見据えた議論は全くなされず、やったことは単に診療報酬を引き上げただけという、粗末さです。

負担の分かち合いばかりではなく、経済を成長させて税収を増やして、社会保障を充実させる視点も重要です。
私は医療分野も成長分野だと捉えています。
レセプトのオンライン化や健康情報のデータベース化など、情報通信技術を医療に導入することで、病気予防や患者の利便性の向上が期待されます。
医薬品や医療機器は輸入超過で約1.8兆円の貿易赤字を生んでいますが、大きな潜在力があるこの分野を規制緩和などで支援することにより、国民に高水準の医療が提供できます。

多くの方々の努力によって、日本は誰もが安価で質の高い医療を受けられるという、世界に類を見ない制度を築き、世界一の長寿国となりました。
国民の健康と安心のためにこの制度を守るよう、力を尽くしてまいります。