東京電力の社外取締役との兼職を問題視された数土文夫氏がNHKの経営委員長を辞任しました。
数土氏は、NHK改革に大きな実績をあげてきただけに、大変残念です。

JFEホールディングスの社長を務めた数土氏は、旧川崎製鉄と旧日本鋼管の合併を実現した経営手腕を期待されて、NHKの経営委員長に就任しました。
民間のコスト感覚を持ち込み、経営の合理化や、初めてとなる受信料7%値下げなどを実現してきました。
NHK内部の反発に屈せず、国民の利益を最優先に改革を実現してきたのです。
東電の社外取締役も、引き受ける経済人見つからない中、「国民のために」と無報酬で引き受けたものでした。

放送法では、NHKの経営委員長は番組編成に関わることはできないと規定しており、個別の放送内容に影響が出ない仕組みになっています。
東京電力の社外取締役との兼職は全く問題がないのです。
それを一部のマスコミやNHK職員の労働組合などが「報道の中立性が損なわれる」などと世論をあおりました。
さらにNHK改革に反対する勢力も、これに便乗しています。

私は総務大臣在任中から、受信料引き下げやNHKの内部改革に取り組んできました。
当時から改革への抵抗はすさまじいものでした。
NHK出身の会長では改革が進まなかったことから、民間の経営感覚を取り入れることが必要だと考え、NHKの運営監督や会長を選ぶ権限を持つ経営委員に富士フイルムの古森社長を推薦しました。
その際に、改革に抵抗する幹部は、古森氏が経営委員長に選ばれないように、「富士フイルムはNHKにテープを納入している」と騒ぎ立てるなど、数々の妨害工作をしました。
全く関係のないことをさも問題のあるように騒ぎ立てるのは、改革に反対しNHKを支配したい人々の常套手段なのです。

NHKは多すぎる職員数や高コスト体質が指摘されるなど、改革はまだまだ道半ばです。
数土氏の辞任によって、改革の取り組みが停滞しないよう、厳しい目で監視してまいります。