12日木曜日、衆議院で郵政民営化法の改正案が可決されました。
この法案は、郵政の完全民営化をあいまいにするものであったため、私は党の方針に反して反対しました。

郵政民営化は、非効率な官業を廃し、資金の流れを官から民へと変えることを大きな目的としていました。
現在の日本郵政は、政権交代直後の天下り人事によって経営陣を官僚が占め、株式売却が凍結されたために今も政府出資が100%で、事実上の官業です。
このため、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は、資金の生産性(運用利回り)は、民間金融機関の3分の1と指摘されるほど低くなっています。
金融二社の経常利益は1兆円足らずですが、合わせて270兆円という資金は、民間なら3兆円の経常利益が期待できるのです。
非効率な官業は日本経済の大きな潜在的損失となっています。
現行法では、この資金を民間の活力によって有効に活用するために、金融二社の全株売却を義務付けていました。

しかし改正案では、株式売却が努力義務となった上に、50%以上の株式を売却すれば新規事業の参入が現在の認可制から届出制に緩められます。
これでは、暗黙の政府保証を背景に資金を集めることになり、市場をゆがめてしまいます。
政府の関与を残しては、民業圧迫になる上に、財政規律が緩んで資金は効率的に利用されません。
やはり金融二社は完全民営化は必要です。
これは2005年の総選挙の争点として国民の大きな支持を得た郵政民営化の根幹でもあります。
私は、構造改革を後戻りさせてはならない、政党も政治家もぶれるべきでないと考え、処分覚悟で改正案に反対しました。

改正のもう一つの柱として、郵便事業会社と郵便局会社の合併があります。
現在は、郵便事業会社と郵便局会社は別会社になっており、杓子定規の運営で縦割りの弊害が出ていました。
この二社の合併は自民党政権下の現行法の見直し規定に基づく議論でも検討され、私も郵便局の現場の声を聞く中で、利便性の向上のためには一つの方法だと考えるようになりました。

また、努力目標になってしまったとはいえ、金融二社の全株売却の道も残されています。
株式売却を進め、経営陣を刷新することで、民営化の果実が国民にもたらされることが期待できます。

今後も郵政民営化は不断の見直しが必要です。
郵政民営化が成功し、国民の利益に繋がるよう引き続き努力してまいります。