昨日、自民党は郵政民営化について考え方を決定しました。残念なことに、金融二社の扱いは、売却期限の延長や日本郵政の経営判断を認めることを検討するという曖昧な表現となってしまいました。

小泉政権下の平成17年に始まった郵政改革では、巨額の郵貯資金が財投計画を通じて特殊法人に流れて、非効率な官業と天下りの温床となっていたことを見直し、資金の流れを「官から民へ」変えることが最大の目的でした。
国営時代は国庫納付は0円でしたが、民営化直後には5570億円もの納税をするまでになりました。
民営化後も郵便局は減ることなく、全国のネットワークの維持と業務効率の向上もしっかり進めてきました。

それが政権交代以降、民主党政権によって株式売却が凍結され、郵政民営化は停滞しています。
特に、天下り官僚を日本郵政の社長にしたことで、経営合理化が進まないどころか、非正規社員を6500人も正規雇用するという、逆行することも行われています。
民主党の配慮によって組合の力が強くなり、郵便局の営業時間すら柔軟に決められない有様です。
郵便局の現場の声を聞いても、よりよい郵便局となるよう努力している地域の郵便局に比べて、経営陣の経営努力が足りないことは明らかです。

自民党は株式売却凍結の解除と、改革を逆行させる法案の撤回を求めてきました。
そのような中、公明党が独自案を示しました。
民主党と公明党が協力すれば法案が通ってしまいますから、自民党は公明党と協議する前提として、考え方を議論しました。

公明党案は、金融二社の株を「できるだけ多く売却」としています。
金融二社への政府出資を残しては、暗黙の政府保証となって他の金融機関を圧迫し、市場をゆがめてしまいます。
全国一律のサービスを維持しつつ、金融二社を完全民営化することは、郵政民営化の根幹です。
私は原理原則を曲げるべきではないと断固主張しました。
しかし、公明党案に賛成して民営化を修正すべきだとする意見も強く、残念ながら曖昧な結論となってしまいました。

平成17年の衆議院選挙では郵政民営化を争点として、自民党は大きな支持を得ました。
国民からの信頼に応えるためにも、選挙で国民に約束したことは守らなければなりません。
今後、公明党と法案作成の協議に入りますが、私は引き続き金融二社の株式完全売却を強く主張していきます。

民営化を成功させて日本郵政がいい会社になり、国民の利便性が向上するよう、努力してまいります。