10月末、NHKは平成24~26年の経営計画の中で、受信料の値下げを発表しました。
受信料の値下げはNHKの歴史で初めてのことです。

受信料値下げの議論は、私が総務大臣の時に主張したことがはじまりです。
当時、実際に受信料を支払っていたのは3200万人にとどまり、約1000万人が支払っていませんでした。
私はこの不公平を是正するために、受信料の支払い義務化と同時に、受信料の2割値下げを提案しました。

当時のNHKは、職員による不正支出や経費水増し請求、カラ出張などの不祥事が相次いでおり、体質改革が必要でした。
また、NHK職員から昇格した会長が続いたこともあり、高コスト体質も指摘されていました。
私はNHKを所管する総務大臣として、NHKの改革、受信料の義務化、受信料の値下げの3点をセットで実行することが、視聴者である国民の利益になると考えたのです。

まず私は、民間の経営感覚を導入するため、NHKの経営を監視し、会長を決める権限を持つ経営委員会の委員長を、富士フイルムの古森社長にお願いしました。
そして、経営委員会はアサヒビールの社長を務めた福地氏を会長に選びました。20年ぶりに民間出身のNHK会長が誕生したのです。

NHKの取り組みが当時はまだ不十分だったために受信料義務化は見送りましたが、私の思いを理解していただいていた古森委員長、福地会長は受信料の10%還元を決めました。
そして今回、口座・クレジット払いで受信料の約9%となる年間1440円、継続振込支払いで年間840円の値下げが実現しました。

NHKは、多過ぎる職員数、高い人件費、OBが再就職する関連会社の存在などが指摘され、まだまだ改革の余地は残っていますが、今回の値下げは大きな一歩です。

NHKは他の放送局と違い、受信料を集めて放送しているのですから、視聴者のために緊張感を持って良い番組作りに努めなければなりません。
私は大臣当時に、アメリカのCNNやアラブのアルジャジーラのように、NHKがアジアの報道をリードできるよう、国際放送を担う新会社を作り、発信力を強化しました。
今後もこういった国民目線の政策、国益につながる政策を実現できるよう力を尽くしてまいります。