今週、私は安倍晋三元総理とともに、台湾で開催された「アジア太平洋地域の安全と台湾海峡の平和」をテーマとする国際会議に招かれ、講演しました。
そして、馬英九総統や、来年の総統選挙で対抗馬となる野党民進党の祭英文主席、そして台湾経済界の方々と会談しました。
東日本大震災では、台湾から世界最大規模の200億円を超える義援金が届いており、その感謝の意を伝えました。

台湾訪問は昨年に続き2度目となりますが、今回は中国の軍事力の脅威を改めて認識する訪問となりました。
中国は近年、軍事費を毎年10%以上増やし、軍事力を急速に増強、近代化させています。
数年内に空母を持つ見通しです。
そして、その軍事力を背景とした海洋権益拡大の意思は強く、中国周辺海域で示威行為を繰り返しています。
ちょうど一年前には、尖閣諸島周辺領海における漁船衝突事件が起きました。
先週には、民主党代表選の最中の政治空白を狙って、中国軍機が東シナ海の日中中間線を初めて越えてきました。
大油田やガス田が発見されている南シナ海の南沙諸島においても争いが絶えません。

野心をあらわにする中国には、日米同盟を機軸としながら、周辺諸国、特に自由と民主主義という価値観を同じくする台湾、韓国などと連携して対応しなければなりません。
しかし、政権交代以降の2年間、民主党政権の外交は国益を損ない続けています。
沖縄の普天間基地移設問題で日米関係は最悪の状態で、戦略的、多角的な外交は全く望める状況ではありません。

私は国際会議での講演で、日本と台湾が良好な関係を築くこと、特に人や文化の交流の重要性を話しました。
現在でも人の往来は活発ですが、昨年にはそれぞれ都心に近い羽田-台北松山空港便が就航して日帰りも可能となり、さらに交流が進むことが期待されます。
新たな文化交流も動き始めています。
馬総統は私達との会談で、日本で初めての台湾故宮博物館の展覧会を開くと表明されました。
また、NHKのど自慢が10月に台北で開催されることが、台湾で大きな話題となっています。
総務大臣当時、台湾開催に道筋をつけた私にとっても非常に感慨深いものがあります。

台湾は日本に強い関心と大きな期待を寄せています。
経済的なつながりも強い日本と台湾が、隣人としてより親しく、多層的に関係を深めることが、両者の発展にのみならず東アジアの平和と安定にとっても重要です。
私も引き続き日本と台湾の友好に力を尽くしてまいります。