東京電力福島第一原発の事故対応を巡り、場当たり的な指示の連発による現場の混乱、隠蔽、責任転嫁など、菅政権が抱える問題が浮き彫りになりました。

震災発生翌日の3月12日、1号機の原子炉を冷却するための真水がなくなり、海水注入を行いました。
当初、官邸は、渋る東京電力を抑えて菅総理の英断により20時20分に海水が注入されたと発表していました。
しかし、東京電力のウェブサイトには、その前の19時4分に海水注入、その後19時25分に中断していたとの記述があり、官邸と東京電力の発表に相違があることが発覚。
この矛盾を自民党が追及したことから、事実説明の迷走がはじまりました。

最初の注水を「聞いていない」と激怒した菅総理が注水中断を指示し、55分の注水の空白を生んだと指摘されています。
菅総理はこれを否定していますが、注水中断の際、東京電力本社からテレビ会議のモニターを通じて
「首相から指示があるまで注水を中止せよ、との要請だ。」と現場に放送され、多くの関係者が聞いています。
官邸は、注水中断は斑目原子力安全委員長が再臨界に懸念を示したためと発表しましたが、斑目委員長はこれを完全否定。
すると菅総理は最初の注水は「試験注水」であり、それについては何も聞いていなかったので中断指示などしていないと国会で答弁します。
しかし、東京電力が注水開始を官邸にFAXで知らせていたことが明らかになります。
そして一昨日になって突然、東京電力が、そもそも「海水注入の中断はなかった」と発表しました。

これでは何が真実かまったく分かりません。
菅総理は事実を隠蔽して自分の手柄にしていたことが、一転して不都合になると、責任転嫁し、知らなかったことにする。
保身のために情報を操作するのは言語道断であり、国民や国際社会の不信は大きくなる一方です。
メルトダウンの事実が二ヶ月も経ってから発表されたことも、国際原子力機関(IAEA)の調査が入るのでその前に行なったとの疑いがあります。

国民にも国際社会に対しても、情報を明らかにしないといけません。
事実を検証するため、国会の中に原発事故調査委員会を設置することを強く求めていきます。

現場に裁量を与えて責任は自分が取る、これが危機においてリーダーが取るべき態度です。
これと最も対極にある自称専門家の菅総理が現場に口をはさみ、天災を人災にしてしまいました。
そして現場に責任を押し付ける手法も、昨年の尖閣諸島における中国漁船衝突事件の際に、那覇地検に責任を被せたときと同じです。
原子力災害対策本部の本部長は菅総理であり、東京電力のせいにするのは責任逃れです。

震災復興に立ち向かう覚悟も責任感もない菅総理には、もはやこれ以上、危機対応を任せられません。