今週は小沢元代表の強制起訴で一週間がはじまりました。菅総理は「政治家自身が自分の責任で対処すべき問題だ」と答弁するだけで、証人喚問に応じさせることも、党の処分を下すこともできません。あれだけ民主党はクリーンな政治を標榜していたにもかかわらず、自浄作用は機能しておらず、ケジメをつける気もありません。

党内での火種を抱えたまま、衆院予算委員会が行なわれ、3日には全閣僚出席のもとに行なわれる基本的質疑を終えました。序盤戦を終えて、菅総理自らが年金一元化の撤回や子ども手当満額支給の断念を示唆するなど、民主党の根幹政策を見直す発言が相次ぎました。

マニフェストについて、かつて鳩山総理は「国民との契約だ。実現できなければ責任をとる」と大見得を切りましたが、その破綻は明らかで、菅総理も修正を言及する始末です。与謝野大臣が財源捻出策について「民主党は無知だった」と述べた通り、甘い見通しのまま大風呂敷を広げたに過ぎませんでした。

「税と社会保障の一体改革」については、国民年金と厚生年金、共済年金を一元化して、税方式により月額7万円の最低保障年金を設けることをマニフェストに掲げていました。しかし、政府の原案も示さず、7万円にした根拠はなく、給付対象や財源も具体的に固めていない実態が、菅総理の答弁により明らかになりました。一元化は困難であるために撤回も示唆し、税方式も保険料方式に変えることを言い出しています。全く無責任であり、これでは本気で社会保障制度改革をやり遂げる覚悟があるのか、疑わざるを得ません。

更に、担当大臣である与謝野氏は、自民党支持者からの票を得て比例当選しています。「民主党が日本経済を破壊する」と厳しい批判を浴びせ、民主党を打倒するために新党を創設した経緯があります。その人が議席も返さず、「(バッジをつけていることは)私のモチベーション維持に必要だ」と議員辞職をすることもなく入閣しました。税と社会保障改革に関する与野党協議の窓口役を期待されているようですが、これでは誰も信用できるはずもありません。

また、補助金を地方自治体が自由に使えるようにする一括交付金化についても、「政権交代の大きな成果」とアピールしておきながら、自治体への配分基準すら決まっていないことも明らかになりました。それでも、破綻しているマニフェストを「かなり達成している」と強弁する総理には、もはや真摯な議論は期待できません。