今週16日、民主党政権は税制改正大綱を閣議決定しました。

国と地方を合せて900兆円を超える借金がある中で、社会保障の充実をはじめ、安全保障の確保、国際競争力の強化、人材育成、地域格差の是正など、
日本社会が抱える問題にどう対応するのか、国家の指針が税のあり方に示されなければなりません。
しかし、今回の税制改正大綱にはそのメッセージはなく、バラマキ政策を維持するために財源あさりをし、帳尻を合わせたに過ぎません。

民主党はマニフェスト実行に必要な16.8兆円は、ムダを省けば捻出できるとしていましたが、事業仕分けの成果は2年間で約9千億円の削減にとどまりました。
財源の無いままに昨年編成した予算は、戦後初めて税収見込みを上回る赤字国債に依存するという、異常な予算でした。
それにもかかわらず、民主党はバラマキ政策を見直そうとしない上、負担の議論から逃げ続けています。

そのツケが、今回の税制大綱にまわされました。
目先の選挙を意識して、取りやすいところを狙い打ちにした所得控除見直しや相続税の大幅増税などを行ない、個人にとっては約5千8百億円の増税になります。
頑張る人が報われない仕組みをつくってはなりませんし、これでは外国からも優秀な人材が入ってきません。

また、社会保障費は毎年1兆円以上の自然増があり、基礎年金の国庫負担50%維持も財政的に厳しくなっている中、その財源として菅総理が参院選前に思いつきで発言した消費税増税は、議論にも上がりませんでした。
マニフェストで子ども手当ての財源として明記していた配偶者控除の廃止すら、選挙を恐れて見送られました。

予算と税は国家経営の要諦です。
自民党は努力するものが報われる社会であるべきとの原則の下、少子高齢社会であっても生き甲斐のある、活力あふれる日本を目指しています。
その考えは、党の来年度予算と税制に関する基本方針でも明確にしています。
「自助」を基本としながら、「共助」「公助」を組み合わせて、安心できる社会保障、メリハリを利かせた集中投資による経済成長、そして、財政健全化に向けた道筋を示しています。
消費税増税についても、選挙で不利になると分かっていながらも麻生政権時に掲げましたが、今回も逃げることなく明記しています。

国家経営の理念も能力も欠如した民主党政権の限界は、この税制改正大綱でも一目瞭然です。
本気で国民生活をよくしようという姿勢が全くみられない民主党政権は、一刻も早く退場させなければなりません。