今週23日白昼、北朝鮮軍が黄海に浮かぶ韓国の延坪島に向けて、170発もの砲撃を無警告で行いました。
韓国軍兵士だけでなく、一般住民にも死者が出ており、許しがたい暴挙です。
朝鮮戦争休戦協定への一方的な違反であり、戦争再開に発展しかねない危険な軍事的挑発です。
北朝鮮はこの砲撃を命じた責任者を明らかにして、処罰してしかるべきです。

北朝鮮は元々常識では測れない国です。
後継者の継承問題を抱え、最近では核開発に必要な濃縮ウラン施設と実験用原子炉の建設を公開するなどしており、近隣国の日本としては、不測の事態に備えておかなければなりません。
ましてや北朝鮮のミサイルの射程距離に日本は入っており、98年には中距離弾道ミサイルが日本上空を飛び越え、三陸沖に着弾した過去もあります。
日本への攻撃や現地の邦人被害なども想定し、態勢を整えておかなければならない事態です。

ところがこの状況下、砲撃の情報把握から1時間以上も首相官邸に政治家が不在であったことが、自民党の国会質問により明らかになりました。
菅総理は情報を受けた後も民主党議員との国会対策に関する打合せを行ったため、官邸入りが遅れました。
危機対応に当たるべき主要閣僚の北澤防衛大臣は2時間半近く、岡崎国家公安委員長に至っては5時間近く経過してようやく官邸に入りました。
岡崎国家公安委員長は警察庁にすら終日登庁せず、全く政治主導からかけ離れたお飾りでしかありません。

また、国防に関する重要問題が発生した際に開くべき、安全保障会議も今回開催していません。
統合幕僚長や陸海空自衛隊の制服トップも出席する安全保障会議は、専門的見地からの情報分析も提供されるため、高度な政治判断を行う上では不可欠です。
このような初動と対応の不手際は、まさに民主党政権の危機管理意識の薄さを露呈したものです。
国民の生命と安全を守るという政府の基本的な責務を理解しているのか、疑念をもたざるを得ません。

米国は北朝鮮非難・韓国支持の声明発表に加え、28日から砲撃のあった黄海で米韓合同軍事演習を行う決定をしました。
北朝鮮の更なる挑発行為を防ぐには、国際的な圧力を高め、日米韓をはじめ、関係諸国との連携をより強化することが必要です。
また、日本を取り巻く東アジア地域の安全保障情勢は危険で不安定であることを再認識し、日米同盟の軸を強化し、緊張感をもって対応しなければなりません。