今週5日に開催された、地方分権をテーマとする指定都市市長会主催のシンポジウムにパネリストとして参加しました。

地方分権は、私の市会議員時代からの持論であり、国政を目指すことになった問題意識の原点です。
今日のように成熟・多様化し、少子高齢化や国際化が進展した社会では、国がコントロールして全国一律で物事を決めていく明治以来の中央集権方式では限界がでてきました。
新しい時代に応じた、新しい国創りが必要です。

これからは、国から地方自治体に権限と財源を大幅に移譲し、常に地域の人々の目に触れながら、地域に適した生活環境づくりに主体性と責任をもって取り組めるようにすべきです。
例えば、少子化で小学校や中学校に空き教室が出来たとき、高齢者施設へ転用するなど、その活用方法は市町村が判断すべきことです。
しかし実際は、教育は文部科学省、高齢者施設認可は厚生労働省、建物増改築は国土交通省と、国の管轄が縦割りになっており、国の許可なくしては何も決定できません。

私が総務大臣在任中、頑張る地方応援プログラムやふるさと納税など、地域の創意工夫を応援する仕組みを作りました。
そして、地方分権を強力に推し進めるべく、地方分権改革推進法を成立させました。
この法律の下、地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長、現中国大使)は3年間で約100回もの議論を経て、分権の具体策を4度にわたって政府に勧告しました。
この勧告は、約900項目にも及ぶ義務付け・枠付けの見直しや、条例に法律の上書き権を認めるなど、画期的な内容でした。

しかし、政権交代以降、地方分権への取組みは後退しています。
勧告も法律にするだけの段階であったのに、殆ど着手していません。
民主党政権は「地域主権改革」を最重要課題としながら、国会に提出した地域主権改革推進法案は、
「地方分権」を「地域主権」という定義不明の呼称に変えて言葉遊びをしただけで内容は骨抜きであり、しかも政権投げ出しで廃案にしました。
民主党は公務員の労組に選挙支援を受けているため、本音では改革はできないのです。
実際、国の出先機関の廃止などにより国家公務員総人件費2割削減、1.1兆億円捻出すると言っていたのに、全く進んでいません。

地方分権はこれからの日本のために必ず実行しなければならない改革です。自民党内にも守旧勢力はありますが、与野党の垣根を越えて進めなければなりません。