少し早めのお知らせを、させていただきます。
３月の公園に、使っていただけることになりました。
脚本・演出を務めるのは、いまや天才の名を欲しいままにしている、パンチェッタの主宰こと一宮周平先生です。
その勢いは、正に飛ぶ鳥を落として、その場で捌いて、串に刺してからよく焼いて、二本で298円で提供して、お通し用のキャベツはお代わり自由の如しです。
いつ誰からともなく、一宮先生のことを、劇貴族と呼ぶようになったのも、無理からぬことでしょう。
そんな一宮先せ、あ、いえいえ、旦那様が、私のような平民出身の下賤な者を、お使いくださるにいたったのは、次の様ないきさつから、で、ごぜぇます。
それは昨年の暮れ、都内のとある貴族の館で催された、忘年会（という名の晩餐会）でのこと、で、ごぜぇました。
一宮せ、旦那様は、開口一番、私にこう仰られました。
「使ってやろう」
「…え？」と、私。
「次の公演で、使ってやると言っている」
「ああ、そうでしたか。ありがとうござ…」
「ただし、役者としてではない」
「え、でも、僕、なんの技術もないので、スタッフは…」
「口答えするな！平民めが」
「え、あ、すみません…」
「よいか？此度のお前の役割は、公演の地を均し、雑草を抜き、肥やしを撒き…ま、言うなれば庭師だ」
「え、庭師？ええ、じゃあ、公演っていうのは…公園ってこと？」
「質問は許されない。お前に許されているのは、承諾だけだ」
「あ、はい…分かりました」
「そうして、貴族である私の華を映えさせるのだ」
「えっと…公園で、肥やしを撒いて、一宮さんの花を、生えさせる…。すみません、やっぱり意味が…？」
「質問するな！黙って肥やしでも撒いていろ、この肥やしめが！！」
「あ、申し訳ございま…って、え、僕、肥やしですか？肥やしなんですか！？」
「違うと言うのか？では、稽古場で、肥やしを漏らちらしたのは、どこの誰だったかなぁ？ん？」
「そ、それは…」
「どうした？その者の名を言ってみよ」
「それは…はい、確かに、私です」
「そうだな。それでもなお、お前を使ってやろうという、母なる大地よりも広い心の持ち主は誰だ？名を言ってみよ」
「い、一宮さんです」
「ん？名を言ってみよ」
「一宮周平さん、です」
「…名を言ってみよ」
「ですから、一宮しゅ…」
「痴れ者が！！貴族の私が、肥やしに名を言われるなど、汚らわしいわ！今後、私の名を言う時は、名を言うな！」
「え、ええっ？で、では、なんとお呼びすれば…？」
「質問するな、肥やし！それからな、さっきからずっと気になっていたが、豚みたいにガツガツとつまみを喰うな！それ以上、肥えてどうする！？肥やしだけに、よく肥えますってか？やかましいわ！！」
「あの、すみません、本当に意味が…」
「うるさーい！その辺の菜（お通し用のキャベツ（お代わり自由）のこと）でも、黙って喰っておれ！」
「は、ははーっ！一宮、あ、いや、旦那様！かしこまりました、で、ごぜぇますぅぅぅ」
菜の花が咲きだす季節の頃、下北沢の公園で、お待ちしております、で、ごぜぇます。
劇団さしすせそ 佐藤竜
○若手演出家コンクール2018
最優秀賞・観客賞Ｗ受賞記念公演
PANCETTA 11th performance
"Na"
【脚本・演出】一宮周平
【会場】「劇」小劇場
〒155-0031
東京都世田谷区北沢2-6-6
Tel.03(3466)0020
【日時】2020年3月
12日（木）19:30
13日（金）19:30
14日（土）13:00／18:00
15日（日）15:00
※開場は開演の30分前
※14日（土）13:00のみ未就学児入場可
【料金】
前売3000円
当日3500円
高校生以下1000円（要学生証）
※全席自由席
【予約】https://www.quartet-online.net/ticket/na?m=0dgbdhi
【ＨＰ】pancettapancetta.com