娘が通う塾にて、複数の塾卒業生からの話を聞く機会があったそうだ。

医学に進んだ先輩、証券会社に就職した先輩、教師の道を選んだ先輩などなど。

なりたい職業が明確になっていない娘にとっては遠い話が多い中、ある先輩の話が娘に大きなインパクトを与えた。
 

地方の大学に進んだその先輩は、ある人に言われた一言で就職に対する概念が変わったそうだ。

「仕事と夢や好きな事は別。好きなことや夢を実現するのに必要な資金を稼ぐために仕事をするんだ」

 

その先輩は自分が好きなこと(世界中を旅すること)をするために、まったく違った仕事(金融関係)に就いたそうだ。

実際に働きながら資金を貯めて、好きな事をやっているらしい。

 

 

  夢がわからないことだってある

 

よく「好きなことを仕事にしろ」と聞く。

それができれば一番いいのかもしれない。

しかし、そもそも自分は何が好きなのか、何がしたいのかが見つからない場合もある。

 

なんとなく性に合っているからとその会社に就職したという人も少なくないだろう。

企業名、給料、通勤距離、労働時間などを考慮してそこに就職を決めた人もいるだろう。

少子高齢化が進む日本には、今や仕事はいくらでもある。

 

 

これから大学や専門学校に進学したり、就職をしようとする高校生たちに話す内容としては、ある意味とても現実に近いのかもしれない。

夢があるなら、そこに向かえばいい。

しかし娘のように何がしたいのか分からないという高校生だっている。

夢は無理矢理持つ必要などないし、それは自分の夢ではなく、無理に絞り出して立ち上げた無機質な夢である。

 

 

  大人たちよ、今を楽しんでるかい!?

 

 

なぜその先輩が一番に印象に残ったのかを娘に聞いたところ

「一番楽しそうに話していたから」

と、答えた。

他の誰よりもその先輩が今の自分を存分に楽しんでいるように思えたらしい。

 

 

ふと思う。

私たち大人は子どもたちに夢を持たせるような日々を過ごしているだろうか。

何かにワクワクしているだろうか。

 

たとえ好きな事を仕事としていても、楽しい事ばかりではない。

予期せぬトラブルが起きることもある。

「今の子は・・・」と批判めいた事を口にするものの、その今の子を作っているのは私たち大人だ。

不満や不平を平気で子どもたちの前で吐いてしまう今の私たち大人だ。

それでも何か楽しいことがあれば、ワクワクしたことが待っていると思えば、案外辛いことも乗り切れたりもする。

 

忘れないようにしたい。

私たち大人の役目のひとつとして、今の子どもたちに伝えていく姿を。

「人生はキミたちが思っている以上に楽しいぞ!」