先日、あるネットTV番組にお笑いトリオが出演していたのを偶々観た。
その内容が、かなり面白かった。
3人をA、B、Cとする。
個別にAは売れっ子で、レギュラー番組も何本か抱えている。
一方、BとCはレギュラーなし、芸人としての仕事がない月もあるという。
そこでBがAに嫉妬し、今後はAとやっていけないと不満を抱え、解散を切り出す。
「Aがひとりで出ているのを見るとイラつく」
「出演している番組で、トリオで出させてくれってお願いしろよ」
など、不満むき出し。
ふむふむ、至極素直な気持ちだろう。
よく分かる。
一方のCは、Aについてどう思うか?と聞かれ、
「何とも思わない。Aがどうしようと、まったくどうでもいい」
と答えた。
Cは趣味でもある麻雀のネット番組に時々出演している。
出演料は微々たるものだが、好きな麻雀をやれるし、それはそれで楽しいし、現状とても満足していると言う。
司会者が突っ込む。
「でも今より大きな家に住みたいとか、いい車に乗りたいとかないの?」
Cは答える。
「今の家で満足だし、車も要らない」
番組内では「変わり者」とか「冷たい奴」的な扱いだったが、私から見れば、実はこの3人の中でCが一番幸せなのではないか、と思うのだ。
人は他人と自分を比べる。
しかも身近な人と。
例えば、世界の石油王と自分を比べることはしないが、同じクラス、部活、会社、部署、同業者など、なぜか狭い範囲で、程よい比較相手を見つける。
BもAと比べるものの、毎日のようにテレビに出ている超多忙芸人とは比べない。
はて、身近な人と自分を比べて、何か利益があるのだろうか???
他人より優性なポイントを見出せば幸せになれるのだろうか???
番組に話を戻す。
番組は、終始BとAの関係をどうしたらいいかをゲストたちが面白おかしくアドバイスするものだった。
最終的には、頭の切れるAが、めんどくさいBのご機嫌を取るという方針に、AもBも納得したようだった。
最後にある芸人が、ほとんど触れられなかったCに対し、
「今日はBの話ばっかりだったけど、Cはこれで拗ねることはないの?」
と聞くと、Cは速攻で返した。
「まったくないです」
Cは一貫してCなのだ。
どうやったらAみたいになれるかもなければ、Bみたいにどうにかしたいという気持ちもない。
CはCでいいのだ。
人には劣性も優性もない。
あるのは今の自分。
今の自分にいかに満足しているか。
詰まるところ、幸せは「いかに今の自分自身に納得しているか」なのだろう。
同様に人のことにまったく興味なしの我が家の主。
以前、こんな質問をしたことがある。
「多感な中学や高校時代に好きな人とかいなかったの?」
彼の速攻返答はこうだった。
「むしろ人類に興味がなかった」