食事から戻り、やっと荷解きをしていた俺たちの耳に


「パンッパンッパンッ」

と銃声が飛び込んできた。



俺たちは全員廊下に集まった。



初めて聞く銃声が耳から離れない。


俺たちは恐怖と、これから始まる生活への不安を隠しきれなかった。


心を落ち着かせる為、しばらく食堂で話をする事にした。


ハプニング続きで忘れていた自己紹介をし、皆で夜が開けるのを待った。


スズメの鳴き声が聞こえ始めると、さすがに旅の疲れと眠気が襲ってきたので、
アルゼンチンの洗礼を噛み締めながら、
静かに眠りについた。









しばらくして、コーチがやってきた。

超笑顔で寄って来て、

「来るの明日って聞いてたよ~」


だってさ。


怒る気にもならなかった。


••••。



空港からクルマを走らせること約1時間。



何はともあれ俺達は無事に?寮まで辿り着いた。



部屋は個部屋だったので、各自部屋を選び、荷物を置いた。


この部屋選びが、後にちょっとした事件を起こすのだが、
それはゆくゆくお話する事にします。




飯も食わずだった俺達を、コーチが食事に連れていってくれると言うので、
アルゼンチン最初のディナーに出掛ける事にした。


アルゼンチン最初の食事は、ピザとエンパナーダと言う、餃子の様なパンみたいなアルゼンチン料理。


空腹と安堵感で、格別な美味さだった。


不幸の後の幸福なひととき。




このまま一時の幸せを感じながら、アルゼンチン初日が終わると思っていた。


が、ハプニングはまだ終わりではなかった。



空港の電気も必要最小限だけ残して、あとは消えてしまった。


閉められた入口の前で


鴨がネギを背負って土鍋を抱えて立っている。
それも五羽も。



はい。
俺たちのコトです。




タクシーの運転手の集団がヨダレを垂らしながら寄って来る。




「乗りなぁ、送っててあげるよぉ」




どこに送るきだ!


もちろん断った。




が、




勝手に荷物をタクシーに乗せようとしてくる。




ピーンチ‼





抵抗する鴨たち。



強引な狩人たち。



「NO!NO!!NO~!!!」



半分泣きべそになりながら叫んでいた。(と思う)



「NO~~~!!」





そこに天使が舞い降りた。



警備員の格好をした天使が割って入ってきてくれたのだ。



「助かったぁ」



警備員の格好をした天使は俺たちをロビーの中に招き入れてくれた。



日系人の連絡網でコーチに連絡がついて今向かっているとのことだったので、
そのままロビーで待たせてもらうことにした。