(広報春日井 令和2年9月15日号)

■コロナ騒動における「自粛警察」「コロナいじめ」への対策について

(1)市の自粛要請の内容について

(2)第2波、第3波について

(3)事案について

(4)被害・問い合わせの状況について

(5)市民への注意喚起について

(6)事業者が安心して営業できる市の取り組みについて

(7)警察との連携について

(春日井市議会 末永けい 本会議一般質問)

末永けい

コロナ騒動における「自粛警察」「コロナいじめ」への対策についてお尋ねします。
 まず初めに,新型コロナウイルスに感染され,お亡くなりになられた方々,御家族の方々に心からお悔やみを申し上げます。
 また,医療従事者の方々は,御自身や御家族への感染の不安や医療物資の不足,ふだんとは異なった医療体制を取っていることなど,大変な御労苦があると思います。心から敬意を表し,感謝を申し上げたいと思います。
 この新型コロナウイルスに対しては,私たちは科学的根拠に基づき冷静なリスク評価をし,今後どのように向き合っていくのかを問われています。手洗い,うがいなど,各自で感染症対策を行うことは有効ではあると思いますが,殊,我が国における年齢別の死亡者数・死亡率などから考えますと,一律に営業活動や外出の自粛を要請することについては慎重な判断が必要であると考えます。
 コロナに打ちかつというような論調も躍っていますが,果たしてウイルスを完全に消滅させることなどできるのでしょうか。今後はウィズコロナ,つまり,ウイルスと共存していく方向にかじを切ることが現実的なのではないかと思われます。
 これまでマスコミや政治家は,コロナ,コロナ,コロナ,コロナ,コロナ,コロナ,コロナ,コロナと,昨日は何人感染,今日は何人と連日のように報じたり,記者会見を行い,国民の不安があおられ,自粛という名の下に国民の社会経済活動は停滞し,コロナウイルス感染症それ自体のリスクというよりも,経済の低迷によるダメージが社会的に深刻になってしまいました。また,こうしたマスコミ報道とは裏腹に,政治家やメディア各社の矛盾した行動にも疑問を呈さざるを得ません。
 例えば本市も市民の皆様に様々な形で自粛や感染拡大の防止をお願いしている状況の中で,春日井市議会では不急と思われる常任委員会の行政視察を7月に試みるなど,相矛盾したことを行おうとしています。本当に新型コロナウイルスそのものを脅威と捉えているのであれば,誰がいつどこでウイルスに感染してもおかしくないのに,特段急を要しない出張を行ったりするのでしょうか。
 また,現在,東京都では,知事選や都議補選が行われていますが,都議補選の自民党候補の演説会場には,西村コロナ対策担当大臣が応援に駆けつけ,密になった聴衆の中で演説を行ったという情報も入ってきています。政治家やメディアは,会見場や演説会場などで密になっていたり,出張を試みていたりするのに,国民や市民には自粛や3密回避を求めるのは明らかにおかしいです。私たち国民は,政治やマスコミがつくり出した風潮に流されず,ウイルスを過剰に恐れるのではなく,正しく恐れ,自分自身の判断で適切に対策を行い,社会経済活動をストップさせない姿勢を持つことが肝要です。
 さらに,連日のメディア報道や緊急事態宣言など,コロナ騒動が今年に入って何か月も続いたことにより,国民生活の中で営業活動や外出を自粛することへの同調圧力まで生まれてしまいました。合理的理由や科学的根拠なく自粛への同調圧力が生まれる。これは極めて危険な兆候です。
 そこで,今回一連のコロナ騒動によって生じた「自粛警察」や「コロナいじめ」と言われる現象について取り上げたいと思います。
 「自粛警察」とは,コロナ騒動により発生した他人や店舗などに対して自粛を強要する人々や,その振る舞いのことをいいます。偏見や非科学的思考,ゆがんだ正義感による自粛への同調圧力により,リアル・ネット問わず,「自粛警察」といわれる行為が社会問題になりました。こうした行動や風潮がエスカレートし,営業を続けている店舗やイベント,外出している個人などに対して,一部嫌がらせや妨害行為が発生したことは,報道等によって明らかになっています。
 県の休業協力要請の対象になっていたか否かを問わず,多くの業界業態各事業者において,営業を続けるかどうかの悩ましい判断があったと思います。休業することも営業を続けることも尊重されるべきなのですが,営業を続けていた店舗や催しに対して嫌がらせ等が起きるということはあってはならないことなのです。政治や行政機関からの過剰な休業協力や外出自粛の要請は,「自粛警察」の発生リスクを高めてしまうということを認識し,市当局も市民への外出自粛のお願いをしている以上,「自粛警察」や「コロナいじめ」の発生を防止する対策を講じるべきであります。
 今後は,市として市民に外出自粛の呼びかけを行うことは慎重に行うべきであり,最低限行政側で「自粛警察」などの発生を防止するような対策が併せて取られていないと,自粛を強要するような風潮が生まれ,店舗等は後ろめたい気持ちで営業しなくてはいけなくなりますし,市民も店舗等を利用しづらくなるのです。
 今後,第2波,第3波が発生した場合に,今回と同じような対応が全国的になされるのかどうか分かりませんが,緊急事態措置や市の外出自粛要請などによって,「自粛警察」が一定数発生してしまう可能性を社会的リスクと捉え,市民や市内の店舗等の事業者,イベントの主催者などが安心して社会経済活動を行えるように,しっかりとした対策を講じるべきであります。
 そこで,(1)市の自粛要請の内容について。
 本市が行った市民の皆様への自粛要請に関する内容と,その周知方法について伺います。また,市が自粛要請を行った根拠は何なのか伺います。
 (2)第2波,第3波についてです。
 現在,愛知県では,新規感染者の判明数も落ち着いている状況ではあります。しかし,今後,新型コロナ感染症の第2波,第3波が発生する懸念もあります。市としては,第2波,第3波が来る可能性についてどのように見ているのか伺います。また,第2波,第3波が発生した場合には,市民に対してまた今回と同じような自粛要請を行うのでしょうか。伺います。
 続いて,(3)事案についてです。
 「自粛警察」や「コロナいじめ」は迷惑行為であり,エスカレートすれば犯罪にもなるもので,そうした現象が全国的に発生したことについて,政治や行政機関は,市民に様々な要請を行う場合のリスクの一つとして捉えるべきで,全国的に発生した事案について市としてどのように把握しているのかについて伺います。
 続いて,(4)被害・問い合わせの状況についてです。
 「自粛警察」からの被害を受けた市民や事業者からの相談の状況や,被害を受けた場合の市としての相談体制はどのようになっているのかについて伺います。
 また,市役所に対しては,自粛をしていない個人や事業者について,どのような通報や問合せがあったのか。そうした通報に対し,市はどのように対応をとったのかについてお尋ねします。
 続いて,(5)市民への注意喚起についてです。
 コロナ騒動において,ソーシャルディスタンス,東京アラート,ステイホームなど,キャッチーな言葉が生まれ,多用されています。せきをしたり,マスクをしていないだけでにらまれたり,嫌な顔をされるという声も入っています。もし感染の疑いがあれば,適切に検査等を受けなくてはなりませんが,熱など疑われる症状があっても,周囲に偏見の目があれば,言い出しにくい雰囲気が生まれ,事業者や学校などで対応が遅れてしまうおそれがあります。
 感染の疑いがあるのに,検査等を受けずに黙っていたら,結果的に感染を拡大させてしまうのです。今後,誰しもがコロナウイルスに感染する可能性はあるわけで,地域社会の中で「コロナいじめ」になるようなことは発生しないように,市として注視をしなくてはならないと思います。
 また,学校などでも,子どもたちがコロナ騒動で生まれたキャッチーな言葉でからかい合ったりして,いじめにつながるようなことにも注意を要するのではないでしょうか。特に,実際にコロナに感染した方や,医療従事者やその御家族などが,職場や学校などで偏見にさらされたり,差別的な取扱いが起きないように,市としてもしっかりとした対策を講じるべきだと思います。
 そこで,コロナに関して偏見や過剰な反応が起きないように,注意喚起や啓発,感染症に関する正しい知識の周知啓発が必要だと考えますが,市の対応について伺います。
 続いて,(6)です。事業者が安心して営業できる市の取り組みについて。
 政府や自治体は様々な緊急経済対策を実施していますが,市の財政調整基金などにも限りがあります。同じような経済対策を二度も三度も実施することはなかなか厳しいのではないかと思います。つまり,第2波,第3波が来たとしても,事業者の皆様が安心して営業活動を行えるように,「自粛警察」などの被害に遭わないように,市は事業者を守っていく取組が必要であると考えますが,所見を伺います。
 最後に,(7)警察との連携についてです。
 「自粛警察」がエスカレートした場合,業務妨害や器物損壊,名誉毀損,強要等のまさに犯罪になります。事業者や個人がこうした被害を受けた事案などが市内で発生していないか,警察から情報提供を受けているかどうか伺います。また,警察とそうした情報を共有することで,市が市民への注意喚起,啓発など,今後の対策を的確に実施することに資すると考えますが,今後の警察との連携体制についてお伺いをして,壇上からの質問といたします。

総務部長(長谷川透君) 私からは,大項目2,コロナ騒動における「自粛警察」「コロナいじめ」への対策について順次お答えいたします。
 初めに,小項目1,市の自粛要請の内容についてでございますが,当市が行った自粛要請の内容につきましては,不要不急の外出や公共施設の利用などへの自粛要請についてであり,市ホームページや「広報春日井」をはじめ,市長によるユーチューブの動画配信,安全安心情報ネットワークや広報車等により周知を行ってまいりました。
 この自粛要請は,新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく愛知県緊急事態措置が根拠となっており,当市はその措置内容に沿って行ったものでございます。
 次に,小項目2,第2波,第3波についてでございますが,第2波,第3波が起こる可能性につきましては,当市といたしましては,感染症に関する専門的な知見を持ち合わせていないことから,明確なお答えはできませんが,第2波,第3波を想定した上での感染症対策を進める必要があると考えております。
 また,その際の自粛要請につきましては,今回と同様に愛知県緊急事態措置に基づき必要に応じて実施をしてまいります。
 次に,小項目3,事案についてでございますが,報道等により各地で発生したことについては承知をいたしております。
 次に,小項目4,被害・問い合わせの状況についてでございますが,いわゆる「自粛警察」や「コロナいじめ」により被害を受けたという相談につきましては,市に直接いただいてはおりませんが,相談があれば関係各課においてお話を伺い,しかるべき所属や機関に御案内することとしており,具体的な被害がある事案の場合は,通報者に対して警察に連絡するよう助言するとともに,市からも情報提供をすることとしております。
 また,自粛要請に応じない方に対する市への通報でございますが,公園に多くの人がいて混雑している,パチンコ店が休業せず営業しているといった内容などをいただいております。これらにつきましては,公園に密集を避けるような周知看板を立てることや,営業自粛要請の主体である愛知県に情報提供などを行ってまいりました。
 次に,小項目5,市民への注意喚起についてでございますが,感染者,濃厚接触者,医療従事者等に対する偏見や差別につながるような行為は,決して許されるものではありません。そのため,人権への配慮についてのお願いや,相談窓口である法務省への案内を市ホームページにより行っており,学校におきましても国の通知に従い,全体集会時に感染者等に対する偏見や差別の防止を指導しているほか,学級活動で日本赤十字社による動画等を活用し,教育を実施しております。
 次に,小項目6,事業者が安心して営業できる市の取り組みについてでございますが,営業自粛要請中にルールを守って営業を行っている事象者に対する嫌がらせにつきましては,自粛要請の内容がしっかりと周知されていないことによるものと考えられます。事業者が安心して営業できるよう,県が実施する自粛要請及びその周知内容について,今後も注視し啓発をしてまいります。
 次に,小項目7,警察との連携についてでございますが,春日井警察署からの情報の提供につきましては,警察署が事案の内容を判断し,市への情報提供が必要と認められるものであれば,情報提供されることになっておりますが,確認したところそういった情報はございませんでした。今後も可能な範囲内で情報共有を行ってまいります。

末永けい

(1)の2回目です。
 本市における自粛要請は,愛知県緊急事態措置を根拠として,その内容に沿ったとのことでしたが,なぜ市として市民にそのような呼びかけを行ったのでしょうか。何か法的根拠はあったのか,併せて伺います。

総務部長(長谷川透君) 小項目1の2回目の御質問にお答えいたします。
 不要不急の外出自粛要請などにつきましては,特別な法的根拠はございませんが,市民の生命及び健康を守るため,市として行う必要があると判断し,実施したものでございます。

末永けい

(4)の2回目であります。
 市民からの問合せの状況についてです。
 市民から,パチンコ店が休業せずに営業しているという通報があったということで,市は,現場確認の上,愛知県に情報提供を行ったということです。この市から県に情報提供を行うということについて,法的根拠についてはあったのかということについて伺います。

総務部長(長谷川透君) 小項目4の2回目の御質問にお答えいたします。
 情報提供したことにつきましては,特別な法的根拠はございませんが,愛知県よりパチンコ店の営業状況の把握及び情報提供についての依頼があったことに基づき行ったものでございます。

末永けい

(4)の3回目に入ります。
 こちらは市長に答弁を願いたいと思います。
 パチンコ店については,市民から通報を受けて,現場の状況を見て県に情報提供を行ったということなんですが,県の休業協力要請の対象となるパチンコ店以外の施設が,実際に休業していたかどうかということについては,市として特に把握や現場確認はしていないというふうにお聞きしています。
 パチンコ店だけをターゲットにするという風潮は,明らかにマスコミの影響だと思われ,違和感があります。市として対応する法的根拠は特にないということで,市の立ち位置がはっきりしないと思いますが,もし第2波や第3波が発生した場合において,特定の業種だけターゲットにするというのはおかしいと思います。市長はどのように思われますか。所見をいただきたいと思います。

市長(伊藤太君) パチンコ店につきましては,これは一つの例として,東京都,大阪,いろんなところで自粛要請が出された一つの業種というのか,お店だと,そう理解しております。そして,それにつきましても,愛知県のほうもそれに対してどうなっているんだということが,愛知県のほうから問合せがあったわけですから,それについて回答したところであります。ということで,第2波,3波につきましても,やはり国あるいは県等の動きを十分注視しながら,しっかりと対応していくことが全てだろうと,そう思っています。

末永けい

(5)の2回目です。
 こちら,意見だけ申し上げたいと思います。
 この質問通告を行ってから,市のほうでは,市のホームページにおいてコロナに関する人権に配慮した行動をしましょうというページを,早速作成していただいたことは評価をしております。今後も第2波,第3波があったとしても,市民や事業者の健全な社会経済活動を維持するために,コロナに関する「自粛警察」などの風潮が生まれないような対策をしっかりと講じていただくように要望して,質問を終わります。
 

【ご参考】

新型コロナウイルス感染症に関する人権への配慮について