前回、成熟した街である高蔵寺ニュータウンの再生の為には、住みたい住み続けたい遊びに行きたいという魅力を高め、地域ブランドである「高蔵寺ブランド」を打ち出すことが必要であると述べさせていただきました。


 私が市議会に提案しているのは、国の「地域活性化総合特区」や「構造改革特区」といった制度を利用し、既存ストックや地域資源を最大限活用することで、総合的に活性化を図る方向性です。


 ここで参考にしたいのが、大阪府・堺市が「泉北ニュータウン再生地域活性化総合特区」として国に申請した時の内容です。(結果的には総合特区として採択はされてませんが、とても参考にすべき内容を含んだものです。)具体的には、公的賃貸住宅団地における地域の福祉拠点を導入するための土地費減額の補助制度創設や、ニュータウンに進出する企業に対する法人税・登録免許税の特例などの項目が並んでいます。若年層にとって住みたいという動機づけになるのは、住みよい住環境に加え、地域における雇用の創出です。また、シニア世代にとっては、住みなれた街での医療・福祉・生活支援施設やサービス付き高齢者向け住宅等の充実だと思います。総合特区は特例措置に加えて、国から税制・財政・金融的な援助をまとめて受けられるものでありますので、これは街全体が再生する大きな起爆剤になると感じました。


 そして、総合特区に似た制度として、小泉政権からスタートしている「構造改革特区」については、現在も継続して受付けられています。「構造改革特区」については、全国の多くの自治体が様々な分野で認定を受けて、取り組んでいます。これからの高蔵寺ニュータウンの活性化に参考になるような事例を少しピックアップしてご紹介します。


①福祉関係で言いますと、大垣市地域密着型福祉サービス特区や出雲市福祉のまちづくり推進特区があります。指定小規模多機能型居宅介護支援事業所における障がい児や障がい者の受け入れ事業です。障がい福祉サービス利用者の事業所の選択肢を広げ、より身近でサービスを受けることを可能とします。人に優しい街として、高蔵寺の魅力を高めることにもつながります。


②小学校の廃校校舎の活用案でいいますと、豊田市教育特区や、伊賀市意育教育特区があります。廃校となった小学校を利用した、学校設置会社による学校設置事業です。藤山台においても、二校の小学校が廃校となろうとしています。廃校となった小学校を地域活動拠点機能、避難所機能を残しながら活用することにより地域活性化、地域の安心安全につなげることが出来ます。高等学校などとして利用されることによって、市内外の中学生の卒業後の進路の選択肢を増やすことにもつながり、若者や若年世代の呼び込みにもつながると考えます。


③雇用の創出や大学との連携関係でみてみますと、福岡県飯塚市飯塚アジアIT特区、産官学連携をテコにしたIT(情報技術)関連産業の集積に取り組まれております。我が春日井市においても、理工系学部や研究室を擁する中部大学があります。高蔵寺ニュータウンは大学の近隣にある環境を活かして、大学発ベンチャー企業、地域に新産業を創出する方向性に力を入れてみてはいかがでしょうか。大規模な製造業はニュータウンの住環境とはそぐわないかもしれませんが、IT産業などは住環境とも調和すると思います。若者が求めているのは住みよい住環境に加えて、働く場です。若年層に起業するチャンスや働く場を創出していくことが若者層がニュータウンに入ってくる動機づけになります。 


 私は、このように国の特区制度を活用することで、ニュータウンの課題を一つ一つ解決していくと同時に、高蔵寺のブランド力を高めることができると考えています。安倍政権は岩盤規制を打破していくという方向性で動いております。こうした政府の方向性にも合致する取り組みだと思いますので、春日井市として是非前向きに検討していくべきです。