半端ない暑さの毎日の中で
オペラ「半神・うりこひめの夜」公演は
おかげさまで
全公演終了しました
※集合写真は公式から(佐藤桂さん撮影)
半神キャストとマエストロ竹内くんと。
みなさん、お疲れ様でした!
公式でたくさんお写真を撮っていただいていると思うので
舞台の様子はまた改めて
ご紹介出来たらと思います
普段古い作品をやることが多い
我々クラシック業界ですが
今回は珍しい新作初演ということで
様々な試行錯誤が稽古場で行われていました。
全員が、曲と初めて向かい合うわけですが
かなり短期間で一気に作曲されたと思われるこの作品は、
私には、原作への愛と深い解釈が
とても的確に表現されているものだと感じられました。
私自身が、原作へのこだわりが
すでにかなりあるため
結構厳しい視点から、曲を見ていたのではと自覚しますが
なるほど・・・こうくるのか・・・!と
感動する要素が多かったと記憶しています。
2.5次元と言われる、漫画を原作にした舞台はたくさんありますが
その原作が、音楽で本当に描かれているものは、あまり多くないのでは、と思います。
それは当然で、例えばキャラクターの見た目や
セットやダンス、様々な舞台の仕掛けなども合わせて
作品全体の世界が表現される
エンターテインメントだからです。
しかし、今回の「半神」は
音楽だけで原作を全て表現している作品だと思いました。
もちろん、キャストは演技をするし
衣装や照明なども表現に加わるのですが
それがなくても成り立つ程に音楽がパワーをもつ作品、
それこそが「オペラ」と呼べるジャンルなのではないかと
今回、改めて感じました。
演じる側も、それを理解して
最大限表現しなければ・・・もったいない。
正しく音を演奏することはもちろんですが
楽譜に書かれている意図以上のものを表現することが
私が演奏をする意味だと思うので
それを目指して、日々、自分の音楽表現を追求しました。
原作を読んでいる時は
当然ユージー目線だったわけですが
ユーシー側に立つと、また違う愛が見えてきます。
冒頭は、セリフのない役には予想外の
長大なヴォカリーズが書かれていましたが
これは、ユーシーが見る世界、
彼女の世界に対する愛情だと思いました。
演奏は簡単では無いですが
まるで簡単に、かろやかにのびのびとした
楽しく美しい時間でありたい、
世界は美しく、愛おしく幸せなものである
初めて楽譜を見た時から、すぐにそう感じたので
そのような音楽を目指して
演奏を研究していきました。
その愛は、ユージーへの愛でもあり、
そして実はユージー側の愛にも繋がり
ユージーの音楽にも繋がっていて、
そして最後は私が、そのユージーを演じます。
一言では言い表せない、その複雑な愛、
憎しみの先にある届かぬ愛、
そういうものを、あの音楽の上で
表現出来たらと思いながら、ラストシーンを演じました。
あの原作を、このような作品に書き上げられた
青島広志先生に
心から敬意を表します。
また、この作品は、演技もとても悩ましいものでした。
私は普段、歌の「技術」をわりと評価していただくことが多いのですが
昔から、芝居にも真剣に向き合っています。
高校演劇の「米本一夫賞」の米本一夫先生の晩年に
私は高校時代、演劇部で様々なことを教えていただき
その後も、日本だけでなく、イタリアでの身体表現の勉強も含め
ずっと、演じることを大切にしてきています。
最後に、双子が入れ替わるこのお芝居は
今回は、このように表現させていただきましたが
これが正解ということではなく
まだ、もっと他の表現があるのではとも思っています。
次の機会があったら、また芝居も違う結論になるかもしれません。
と、ちょっと真剣なことばかりを書いてしまいましたが
敬愛する萩尾望都先生の作品の登場人物を演じる毎日は
とにかく幸せな時間でした。
正直、苦になるものなど一つもなく
ワクワクし続ける日々でした。
その上、実は公演初日に
ご来場いただいた萩尾先生と、お会いする機会をいただきました
初演を務めた歌手として、ご挨拶をするだけでなく、
初めて読んだ「11人いる!」を購入した子供の頃から
今の作品まで、ずっと大好きで読ませていただいていることや
作品の中に出てくる音楽のこと、
自分が留学していたイタリアにもエドガーやアランが来てるのかも?って
作品を読んで思わず思ったことなど
たくさんお話をさせていただき、長年のファンとして感無量でした。
お小遣いで本を買って夢中で読んでいた、子供の頃の私に
未来にこんな日がくることを
教えてあげたいです
萩尾先生と一緒に、写真も撮っていただき、
本当に夢のように幸せでした。
私にとって、神様のような存在です。
この写真は宝物です。
スマホの待ち受けにしたら、毎日画面をつけるたびに
あれは夢ではなかったと、幸せな気分になっています。
自分を待ち受けにしたことなんて
一度もなかったんですが
これはしないではいられません。
(先生のお顔は隠しております、すみません)
このような、幸せな機会をいただけたのも、
いつもご来場いただく、皆様のおかげだと思います。
この度も、ご来場いただいたたくさんの皆さま
お暑い中、お越しいただき
ありがとうございました!
そしてお世話になりました、制作・スタッフの皆さま
魅力的な共演者の皆さま
「うりこひめの夜」を演じられた皆さま
本当にお世話になりました!
この作品が、この先も様々な場所で
演奏されて行くことを、願ってやみません。
私もまたこの役を、演じることが出来たら嬉しいです
今回の公演について詳細はこちら↓
※公演は終了しました