今回は、本当に色々ツマミました。
ざっとこんな感じでございます。
というか、"とにかく手当たり次第に漁った”というのが正解
と言うのも―、
前回「ロミオとジュリエットと三人の魔女」をご紹介しました時に、ド頭にこんな事を書きました。
- クレオパトラを黒髪オカッパのイメージにしたのはシェイクスピア。
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クレオパトラと聞いて想像するのって、こんな感じだと思うのです。
ですが、実際の所、彼女の髪は美しいブロンドだったそうです。
彼女は国籍ではエジプト人ですが、民族としてはギリシャ人でした。
‥‥‥と、まぁこんな感じで、今回はクレオパトラに関するアレコレを集めてみました。
(過去の記事と重複する点も多々あると思うのですが、私の記憶もだいぶあやふやなのでご容赦を‥‥‥)
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そもそもエジプト古代王朝の最後を飾りますプトレマイオス王朝は、ギリシャ人の王統なんです。
その前の王朝を滅ぼしたアレキサンダー大王の部下の一人、プトレマイオスがエジプトを領有したのが始まりでございます。
ですので、この王朝の首都はアレキサンドリア(=アレクサンドロスの都)という事なのでしょうね。
※
我々が知るクレオパトラは、同じ名前を名乗った七番目のファラオでございます。ですので、正式にはクレオパトラ7世という事になります。
当時のエジプトはクレオパトラ7世とプトレマイオス13世の姉弟による共同統治となっていました。
しかし、弟側が姉であるクレオパトラの排除を目論見、一気に政情が不安定に―。
そんな同盟国の内紛を収める為、ローマの最高責任者・カエサルがやって来ます。
そして、カエサルがクレオパトラ寄りの裁定を下した前夜―、
敷物な何かにくるまって登場したクレオパトラがカエサルを虜にして‥‥‥という場面は有名ですね
要するに、カエサルには、たとえ愛人関係に進まなかったとしても、クレオパトラの軍事上の劣勢を挽回してやる理由は多かったのである。恋愛が介在することで左右できるほど国際政治は甘くない。また、カエサル自体が、愛しはしても溺れない性格だった。
―塩野七生著 ローマ人の物語
『ユリウス・カエサル ルビコン以後[上]』より
件(くだん)のシーンの虚実は定かではありませんが、おそらくクレオパトラは―どんな手を使ったとしても―本当にカエサルを籠絡したと思っていたのでしょう。しかし、相手は《ローマ貴族の大半の奥さんと関係があった》という百戦錬磨のカエサルです
二十歳そこそこの小娘に『私は貴方にメロメロです~』みたいなフリをするのは朝飯前のはず。
―なお、朝飯でも昼飯でも、据膳(すえぜん)は躊躇せずに"食う”のがカエサルです
※※
カエサル暗殺後、ローマの東半分の統治を担当する事になったアントニウス―。
カエサルはエジプト滞在中も、書籍(『内乱記』)を執筆したり、学者達を招いて暦の改革を考えたり、アレキサンドリアの街を見てローマの都市計画を練ったり、と積極的に行動するタイプでした。
対して、アントニウスは"受け身の男”でした。
クレオパトラとしては、彼に贅沢で豪奢な"王者の生活”を雨あられと提供すればいかったのです。
クレオパトラは早くも、アントニウスの性質と才能をよく理解したにちがいない。そしてカエサルとも比較したにちがいないから、ひとかどの女ならば生涯に一度は直面する問題に、彼女も直面したのかもしれない。つまり、優れた男は女の意のままならず、意のままになるのはその次に位置する男でしかない、という問題に直面したのではないか。
―塩野七生著 ローマ人の物語
『ユリウス・カエサル ルビコン以後[下]』より
クレオパトラもアントニウスも、自分に対する認識を間違えていた点では似た者同士でした。
※
クレオパトラは、最高責任者を抱き込めばローマ帝国をどうにか出来ると思っていた節があります。
アントニウスは長らく、カエサルに近い位置にいたせいで、自分こそが後継者に相応しいと思っていました。
しかし―、
エジプトは所詮、「そのままのほうが楽だから」という理由で自治を許された属国(=同盟国)でしたし、アントニウスはその絶望的なまでの政治センスの無さをカエサルはとっくの昔に見抜いていました。
最終的に結婚までした2人は同じ墓に眠っています。
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さてさて、クレオパトラと言えば、パスカルの有名なこの言葉―。
『クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう』
クレオパトラの容姿については諸説あるのですが―、
最後にこの一文をご紹介して終わろうと思います。
(この文章を探すのに正直、2日かかりました)
この生きた戦利品をカエサルは家庭に連れて帰った。妻のカルプルニアは、慣れていたから、眉一つ動かさなかったが、クレオパトラの鼻が少々高すぎることに気が付いて、いささか溜飲を下げた。
―I・モンタネッリ著『ローマの歴史』より