『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される』

 

 確かにどこかで聞き及んでいたこの文句―。

 夏目漱石の「草枕」だったんですね。

 

 ……全く知りませんでした。つまるところ、私はそのくらい文学的教養というヤツを持ち合わせておりませんニヒヒ

 

今回は、そんな「草枕」の感想をちょっぴり……。

 

 ちなみに『意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい』と続くのですが、コレは素直に納得真顔

 

 この辺の事情は、明治も令和も普遍なようですねニヒヒ

 

 それにしても、この書き出しはズルい。4つのセンテンスのリズムがとてつもなく良いんですもの。

 

 ※※

 

 物語は青年画家の“余”という一人称で語られていきます。

 

 この“余”が柵(しがらみ)を捨て、芸術を探求するためにひなびた温泉地へやって来た、という感じ始まりまして―。

 

 ……それでね、簡単に“柵を捨て”と書きましたけど、そここそ私が「草枕」で苦心した点なんでございます。

 

 実は、この柵云々の件(くだり)は、本文では“非人情”という言葉を用いているのですよ真顔

 

 読みながら薄々は感じていたんですけど、普段我々が使う“人情”という単語と、若干ニュアンスが違うじゃないですか。

 

 私なんかは、大概は《人情=優しさ》みたいに捉えてしまいます。

 しかしここでは、付随するマイナス部分として“柵”が、よりフィーチャーされているんですよね。

 

 言ってみれば、そもそもマイナス要素となっている“人情”のアタマに、“非”がついている。

 

 つまるところ“非人情”という言葉が、マイナスとマイナスを掛け合わせてプラスに転じている感じなんです。

(あくまで私の感想ですよ)

 

 これが読んでいて、どうしてもしっくりこないんですよ。

 

 端的に言いますと「非人情の旅ですから……」的な会話がある度に―、

 

 脳みそがいったん混乱する感じでした。

 

 ただ前述の通り、リズムが良いので読めはします。

 

  正直な所「歯触りは良いけど、そもそも何を食べているのかわからない」てな感じでした真顔

 

 内容としては―、

 

 “余”が自由奔放な出戻り娘・那美(ナミ)に翻弄される場面が随所にあって、ちょっと面白かったです。

 

 ……この那美という女性、ミステリアスで中々魅力的なんです。画家である“余”にとっては持ってこいの画題であるはずなんですが―、

 

「……何かがちょっと足りない」らしいのよ。

 

 まぁ“余”も若干芸術を拗(こじ)らせている感があるんでね……。

 

 とにかく人情のニュアンスに苦しみましたけど、それなりに面白く読めました。

 

 ※※

 

 さてさて次回ですが―、

 

 転じまして、どストレートの人情譚(笑)。

 

 西条奈加先生の「姥玉みっつ」でございます。

 

「人間は独りでは生きていけないよね」という、いわば王道の時代小説でございます。