前回ご紹介いたしました、加納朋子先生の「螺旋階段のアリス」は、そのタイトルが示す通りに、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』がモチーフとなっております。
実は、私‥‥‥《アリス》についてあまり詳しくないんですよ。
幼少期から、絵本の段階で毛嫌いしておりました。
いや、たぶん絵本だからこそ―、
‥‥‥怖かったんですよ。
※
特に特にトランプの兵隊が苦手だったんです。
あのペランペランの身体の上に顔があるヤツです。
だって―、
真横から見たら、ただの生首ですよ
私の中では『犬神家の一族』に出て来る"菊人形”と同じです。
‥‥‥犬神家といえば"逆立ち”ですが、絵面だけなら"あの場面”もかなりのインパクトですよね
他にも‥‥‥これは絵のタッチにもよると思うんですが―、
ハンプティーダンプティーも私には、ただただ気持ち悪かった
今回は、そこら辺の思いも込めて(?)、"初めて”ふり返ってみました。
「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」
ルイス・キャロル著 矢川澄子訳 新潮文庫
ちなみに―
私に中の《アリス》のイメージと言えば、こんな感じ―。
《白ウサギ(左)を追いかけるアリス(右)》
《チェシャネコ(中央)とアリス(右)》
(『鏡の国~』にユニコーンが出てきたので、左に添えておきました)
※
それで、改めて読んでみての感想は―
うーん‥‥‥カオス!
時に展開が急すぎて、置いてけぼりを喰う感じでした。
そして、これは"大人の駄目な部分”なのだと思うのですが―
途中から『これ翻訳大変だろうなぁ』と考えちゃいまして―。
もうその辺ばっかり気になっちゃうんです
※
英国の風土に根ざした文化(マザーグース等)が下地になっている部分は、我々(私)にはあまりなじみがありません。
さらには、英語特有の言い回しを元にした言葉遊びもありますし‥‥‥。
「見たところだれもいませんけど」
「ダレモイマさんが見えるなんて、わしもそんな目がほしいよ」王様はいらいらした口ぶりだ。
こちらは本書(『鏡の国のアリス』)での訳でございます。
「道は無人です」
「そのうような目がわしにも欲しいのお」じれったげに、王様が言います。「なんせムジンなんて奴が見えるとはの!」
コチラは、私がちょいちょい"ネタ本”として利用します『トリック専科』で引用されている高山宏先生の訳です。
(たぶん、有名な部分なんでしょうね)
ちなみに原文はこうなっております。
I see nobody on the road.
I only wish I had such eyes, To be able to See nobody!
1行目の"誰もいない(nobody)”事が、見える(I see)という表現―。
最初の動詞で肯定しつつも、後に続く名詞で否定する言い回しですよね。
2行目は、この"見える(I see)”の部分だけを切り取って「そんな目が欲しい」と言っているんです。
日本語ならそのまま"見えない”とか"いない”と言う否定の形になりますからね。
ですので、この手のヤツは日本語の感覚だと―
『ちょっと何言ってるかわかわない』
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まぁ、そんこんなで読み進めました。
取り敢えず、加納朋子先生の《アリス》に出て来るネタに関してはだいぶ理解が深まりました。
今回はそれで良しとします