何だか、連休で頭がボンヤリしているせいか、いつも適当に並べている"たわ言”すら思いつきません真顔

 

 色々な本を取っかえ引っかえして、ネタを探して見たんですが―

 なーんにも出てこんチーン

 

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 ‥‥‥ようやく、十冊目くらいで、私の"大好きな場面”に出くわしました。

(つまるところ、今回は単なる趣味の話です)

 

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「きみたちにはわからないのかねぇ。あの若者の中には百人ものマリウスがいるというのに―」

 そう言いながら、スラは処罰者名簿の中からその青年・カエサルの名前を消しました。

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 これは古代ローマの二大英雄が対峙した場面でございます。

 

 この時、おそらくスラは若きカエサルの中にかつてのライバル(マリウス)以上の才能を認めていたのでしょう。

 

 この二人は後に、当時の共和制下では認められていない"終身独裁官”になる傑物なのです。

 

 クーデターを成功させ、全権を掌握したルキウス・コルネリウス・スラ。

 そして、その彼の前に引き出された成人前のガイウス・ユリウス・カエサル。

 

 もしも、この二人が同世代であったなら、後の世はどうなっていただろう。

 

 これは歴史好きなら、つい考えてしまう"IF”の一つでございます。

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 地中海の覇者となった後のローマでは、長らく"元老院派”と"民衆派”による抗争が繰り返されていました。

 

 貴族達による体勢維持をはかるのが元老院派で、そんな彼等の既得権益打破を目指したのが民衆派でございます。

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 名門貴族出身(貧乏でしたけどネ)のスラと、平民から政界トップまで上り詰めたマリウスの甥であるカエサル―。

(なお、カエサルも名門出身)

 

 スラは当初、将来の民衆派頭目たりえるカエサルを処罰(死刑or永久追放)するつもりでした。しかし、絶対権力者におもねる法曹関係者や部下達から

 

「こんな18歳の若造に何が出来ましょう」

 

 と言われ、しぶしぶ翻意したのです。

 

 おそらくスラも、人物としてのカエサルは認めていたのでしょう。

 

 比較される事の多いこの二人は、常人と違う高みから物事を見ていた点では共通していたと思うんです‥‥‥ただ、見据える方向が違っていただけで―。

 

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「助けてやるかわりに離婚しろ」

 

 民衆派の首魁の娘と結婚していたカエサルに提示したこの条件は、スラにしてみれば最大限の"温情”だったのかもしれません。

 

 ただ、カエサルはこのスラの"恫喝”を突っぱねます。そして―、

 

 尻尾巻いてギリシアまで逃げるのです(笑)。

 

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 ちなみに、なんでこのエピソードが出てきたかと申しますと―

 

 前回のブログで名画『カサブランカ』のお話をちょっぴりいたしました。

 有名な「君の瞳に乾杯!」の件(くだり)でございます。

 

 実は、最前のスラの台詞ですが、以前の私はこんなふうに覚えておりました。

 それが―

 

「あの若者の瞳の中には百人ものマリウスがいる」

(訳によって色々あるんだと思います)

 

 ‥‥‥まぁ、そんなわけで―

 

 単純に"瞳”という単語に引っ張られたわけでございます真顔

 

 

参考文献:『ローマ人の物語8 ユリウス・カエサル ルビコン以前 上』

 塩野七生著 新潮文庫