関節って鳴らしても大丈夫?

 

 

関節鳴らし、手の指をポキポキ鳴らすクセのある人もみえます。

 

関節が太くなるから、関節が緩くなるから、または

関節を痛めるから良くないと家族に注意された人もみえると思います。

 

私たちも感覚的に良くないと言っているところもありますが、

医学的に現時点でわかっていることと

化学的に考えられることをお伝えします。

 

 

  ポキポキ音の正体

骨と骨の間に関節があり、関節包という袋に囲まれて、中には関節液が入っています。

 

骨を引っ張ることで、関節の中の圧力が下がり、あるところまで圧力が下がると、

中に溶け込んでいた二酸化炭素などが気泡となって現れます。

 

この気泡が部分的に破裂するときに関節からポキッと音がすると言われています。

 

 

  指を鳴らし続けると関節にどれくらい悪いのか?

これを検証したアンガー医師という人がいます。

 

幼い時に家族に指を鳴らすと、関節炎になると言われ、それを確かめるために、

なんと左手の指だけ60年以上に渡り1日に少なくとも2回鳴らし続けました。

右手は極力鳴らさないように過ごしていたようです。

 

60年後、どうだったか。

 

鳴らし続けた左の指と、鳴らさないようにしていた

右の指では違いがなかったという報告があります。

 

他にも、関節を鳴らし続けると悪いのかを調べた論文はいくつかあります。

 

指を鳴らす人74人と鳴らさない人226人を比べた研究では、

指を鳴らす人の方が握力はちょっと弱くて手が腫れている人が多かったが、

関節自体はあまり変わらなかったという報告があります。

 

また、握力は変わらないが、軟骨がちょっとだけ厚かったという報告もありました。

これらは、ほとんどが指の骨を引っ張ることでの報告であり、指を曲げることでポキポキと音をさせる人については、この限りではありません。

 

 

  視点を変えて化学的に考えると

ポキッと鳴らす時に気泡が部分的に破裂することをキャビテーションと言います。

 

キャビテーションが発生すると、小さな面積に1トン以上もの力が働くらしいので、

関節の組織を損なう可能性もあると言われています。

 

しかし、今ある研究の結果だけを見ると、骨自体に何か大きな変化が生じるということは報告されていません。

 

指を鳴らすことは、そこまで悪くないんじゃないかと言われています。

 

ただ、無理やり指を鳴らそうとして指の靱帯を痛めた人や腱の亜脱臼を起こした人も報告されているので、無理やり鳴らすのは良くないと思います。

 

化学的な視点からも考えると、関節には何かしらの大きな力も働くと考えられますので、

 

関節を鳴らすことはオススメしません!

 

また、気泡によるものではなく、腱が動くことによって関節の音が出ることもあります。

 

 

 

  背中や腰、首をポキポキ鳴らすのは?

これについてあまり研究はされていません。

 

首に関して言えば、

首への強い衝撃は椎骨動脈解離や脳梗塞などを起こすことがあるので、避けた方がいいと言われています。

 

また厚生労働省では、頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法(音が出るような素早い矯正)は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止となっております。

 

ですので、

自分でポキポキすることも含め首や腰をポキポキする行為全般を行わない方が安全と考えております。

 

また、自然に発生する関節の音は大丈夫ですので、気にしないでください!

 

 

 

 

引用資料

米国内科専門医 安川康介の医学チャンネル

ポキポキ 指の関節が鳴る理由・鳴らし続けるとどうなるの?【医者が解説】

 

著=雑学総研 「人類なら知っておきたい 地球の雑学」(KADOKAWA)

厚生労働省 医業類似行為に対する取扱いについて(平成三年六月二八日)

(医事第五八号)(各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知) 2 

いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて(2) 一部の危険な手技の禁止