セッションより:理想の組織像? 〜本当のテーマをめぐって〜 | 須藤峻のブログ

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すどうしゅんによる、心の探究日誌。
生きることは不思議に満ちてる。自由に、自在に生きるための処方箋。

先日、こんな相談を受けました。
相談者さんは、ある小規模な、サービス業の管理者の一人。
A:誰もが一致団結し、同じ方向を向いて頑張る組織
B:多様な関わり方を許容し、それぞれが、自分の得意なカタチで関わる組織
どちらが、優れたパフォーマンスを発揮するのだろう。

条件によって違う?時代による?従業員の性質による?ケースバイケース?
それは、答えていないのと、同じです。

そして、「答えられない」というのが、答えでしょう。
きっと一流経営者のやり方を分析すれば、半数はA、半数はBでしょうし、
客観的なデータ、豊かな経験、学術的な証明を持ってしても、結論は出ないでしょう。
では、考えるだけ無駄・・・という話なんでしょうか。

実は、この様な、解けないテーマが、現れた時には
その後ろに「本当のテーマ」が存在していることが、あるんです。
そんなやり取りを、再現してみましょう。

須藤:どうして、そんなコトを考えたんですか?
相談者:実は、スタートアップの事業で、一致団結しよう・・・という時に
    一人(Aさん)が、辞めたいと言い出した。
須藤:どうして、Aさんは辞めたいんでしょう?
相談者:「もっと自由に関わる形で関わっていきたい。
    それが、自分のスタイルだし、仕事と生活のバランスだ・・・
    それを認めない様な、旧い体質の会社には、いたくない。」と。
須藤:それを聞いてどう思いますか?
相談者:そりゃ、「一理」は、あると思います。
    でも、スタートアップの時は団結するべきだ!というのも正しいと思うんです。
須藤:そんな、Aさんを見ていて、どう「感じ」ますか?
   (自分の、中に、どんな感情が生まれますか?)
相談者:・・・なんか、ずるい・・・というか・・・
須藤:じゃあ、Aさんに「ずるい」と言ってみてください。
相談者:Aさん、ずるいですよ。ワタシだって・・・
須藤:ワタシだって・・・?
相談者:ホントは、自由な時間をもっと欲しいし、
    辞めたい・・と思うことだってあるのに・・頑張ってるのに・・・
須藤:(仕事場をイメージしてもらい)どんな気持ちがしますか?
相談者:やらなくちゃ・・・忙しいし、大変だけど、成功させなくちゃ・・・という感じ
須藤:この仕事が、好きですか?
相談者:もちろん好きです!でも・・本当にずっとやっていく仕事かわからないし
    でも、それでは、いけないと思いますし・・
須藤:どうして、「いけない」のですか?
相談者:みんなに悪いし、仕事はそんな風にやってはいけないし・・・

・・・さて、本質的なテーマが現れたところまでにしておきましょう・・・

見て頂いた通り、
「優れたパフォーマンスを発揮する、理想の組織像」というテーマは、
その奥にあった「本当のテーマ」を隠すための、見せかけのテーマです。
フェイクテーマとでも、呼んどきますか・・・

フェイクテーマ(仮称)に答えようとすると、永久に解答は出ません。
 ・自分の感情や深い願望(~したい/~したくない)を、見ない様にするために
 「すべき/すべきじゃない」という話に、「すり替え」ているに過ぎない
からです。

このフェクテーマの奥に、はじめて、本当のテーマが見えてきます。

《相談者の本当のテーマ》
・本当に、この事業に、自分は関わっていきたいのかという迷い
・そんな「迷い」についての、罪悪感 等々
ここにフォーカスしていくことで、問題ははじめて解決へと動き出すと思います。
その時に、はじめて、辞めたいAさんでも、組織理論でもなく、
「自分」へと、解決の糸口を与えることができるんです。


さて、問題をややこしくしてしまう、「フェイクテーマ(仮称)」の特徴について
まとめておきましょう。
フェイクテーマは、
  ・~すべき/~すべきでない
  ・~したほうがいい/~しないほうがいい
  ・~しなくてはいけない/~してはならない
という言葉遣いとして、現れます。
この様な、言葉遣いが現れたら、自分の感情、本音を表面化させないための、
「装置」が働いていると考えて間違いありません。

例えば、

・子供は、勉強するべきだ
・人には、やさしく接するべきだ
・国を愛するべきだ

という言葉が隠しているのは

・ワタシは、子供に勉強して欲しい
・ワタシは、皆に、やさしく接してもらいたい
・ワタシは、みんなに、(ワタシの所属する)この国を愛して欲しい
 (=つまりは、「ワタシ」を愛して欲しい)

というメッセージです。
こちらの方が、ずーっと伝わるでしょ?
「すべき、すべきじゃない」というレベルを超え、
「したい、したくない」という、レベルでコミュニケーションをとる時、
僕らの、会話は、最も本質的なモノになり、
同時に、相手に最も伝わるモノになるんですね。

僕らは、すぐに、格好つけます。
確かに、
「もっと、かまって欲しい!」と言うより
「夫婦(二人)の時間はもっと取るべきだ」と言う方が、「楽」な部分があります。
(特に、男性諸君!)
もしその提案が否定されても、否定されるのは
自分ではなく、「論理」になるわけですから、怖くないし、プライドも傷つかない。

でもきっと、そのやり方では、二人の関係は、変わらないでしょう。
だって、
・「もっと、かまって欲しい!」と言えない関係性や距離感
にこそ、問題があるんです。
だから、まず、言葉遣いを変えること。
「~したい/~したくない」という言葉を増やすこと。
それを、信頼すること。
僕は、そうありたいと思います。

・・・僕は、「~すべき」の話が多いタイプだからこそ、そう思うんです。