十数年前の高校時代の話。
海外に興味があり、高校卒業後はワーキングホリデーに行くつもりだった私は、英語科が存在する地元の高校に入学。
英語科は一クラスのみで、三年間クラス替えはなく、40人の生徒のうち、男子生徒は4人のみでした。
ある英語の授業中、副担任の先生が言ったこと。
「将来、英語を使うとき、政治、宗教、性的なことに関する話題、この3つの話題について話すのは避けなさい」と。
取り扱いの難しいデリケートな話題について、母国語ではない英語で話したら、話し相手の気を害してしまうかもしれない。
相手の感情を損ねるつもりがなくても、英語では言いたいことが思ったように伝えられず、結果的に相手を怒らせてしまうかもしれない。
というのが、その助言の理由。
まだ若い私たち生徒のことを思っての助言だったんだろうし、その時は「なるほどなぁ」と聞き入れた。
ただ、少し考えてみると、英語ができようができまいがデリケートな話題は避けたほうがよいのではないだろうか。
日本語でも英語でも、あまり親しくない人と政治、宗教、性に関することについて話すのは賢明とは言えない気がする。
実際、英語が喋れるようになった今、それらの話題について英語で話し合う英語力は私にはある。
でも、そのことについて話すのには、相手を選ぶだろう。
政治だろうが、宗教だろうが、ニュージーランド人の彼とは何についてでも思ったことを話せる。
でも、それは言語の問題ではなく、彼との関係によるんだと思う。
仲の良い彼と彼のお母さんも、宗教に対する見方が違うので、そういう話題はあまり話さないみたいだし。
決して、高校の先生の助言をたしなめているわけでない。
確かに、拙い英語でデリケートな話題について話すのは避けたほうが賢明だろう。
ただ、英語が喋れるからといって、相手を選ばず、その3つの話題について話すのはどうかなぁ、とも思った。