「お前が、隼が契約したって言った時の言葉だよ」
『………………?』
やっぱり、何のことだか分かってない様子だな。まぁ、無理もない。親友と悪友の違いが分からないようなやつに、この問いの解答を求めても無駄だろう。
「お前は……お前たちは、隼のことを理解してなさ過ぎだ」
いやまぁ、あいつのことを理解しようとしたら、時間がいくらあっても足りないけどな。実際、俺だって隼のことを理解しているかと言われれば、全然そんなことはないだろう。
けど、それでも。ほんの少しは、人よりあいつを理解しているつもりだ。何てったって、俺たちは悪友だからな。
……いや、待てよ?それを言うなら、漆翼だって、少なからず隼の悪友なんだ。割合的には、もちろん未来の方が付き合い長いはずなんだし、分からないはずないんじゃないか?
「いや、こういう時には反応してもいいんだぞ?」
『……黙っとけって言った』
確かにそうなんだけど……変なとこで忠実だなおい。
「まぁいい。ともかく、隼はこんなものにサインなんてしていないんだからな」
こんなものってとこで微かに反応したが、本当に黙ってるつもりみたいだ。
「もちろん、こんなものにサインしたところで、みんな助かったりはしない。だって、もしこれが本当なら『みんなが助かる』ってことはありえないもんな」
だって、少なくとも俺と隼が助かっていない。真理だって、いつ突き刺すか分かったもんじゃない状態だったしな。
「あと、何より決定的だったのはお前の一言だ。アレは、マジで蛇足もいいとこだったぞ」
『………………』
何かを考えている素振りの真理。考えたところで、分かるかどうかはしらないけどな。
「まず、これに何の能力も意味もない」
こいつが示したかったのは、簡素な結末と無意味な抵抗ってやつだろ。
『そ、そんなこと』
「大方、意識レベルを低下させて操りやすくする。とか、そんな感じだろ」
真理の顔が、分かりやすく変わる。やはり、その程度の効果のようだな。
「そして、最大の失敗は、隼が契約したという嘘だな」
これは、あまりにも欲張り過ぎたから悪い。隼を選んだのは、人選ミスだな。いや、それしか『選べなかった』んだろうな。
『嘘じゃないですよ』
「まぁ、それしか言えないだろうから、黙って聞け」
それこそ人形のように、否定する真理。そんなことしても、事実は変わらないのにな。
「お前、言ったよな?隼がこれにサインしたって」
『………………』