「それに、元々誰かに従うってのが性に合わないだろうしな」
天上天下唯我独尊なんて言えば聞こえは良いが、実際はわがままなだけだ。
『だから、あの人形は偽物だと?』
「あぁそうだ。ついでに、それも人形だってことも分かってんぞ」
『この体がですか?それはまた……』
まるで、何を言ってるの?って顔をしてるな。まぁいい。一枚一枚化けの皮を剥がさないと、納得しなさそうだしな。
「何なら、刺してもいいぞ?まぁ、出来るならだが……」
『こちらとしても、手駒を無駄消費したくないのですが……。そうですね、これならどうでしょうか?』
手駒がうんぬんとか言いつつ、一切の躊躇もなく手首を切りつけやがった。すると、当然のごとく勢い良く大量の『赤』が噴き出てくる。
「お前に一つ、良いことを教えてやる。隼はな……超自己中だ」
『……はい?』
「自分至上主義のあいつが、他人のために自分を犠牲にしたりなんかしねぇってことだよ」
そう、あいつは自分を中心にすべての物事を考えるようなやつだ。他人のために、わざわざ自分を犠牲にするような心優しいやつなんかではないんだよ。
「自分を変えるくらいなら、周りをすべて変えてしまおうとか考えるようなやつだからな」
その結果、奔走しなければならないやつ(俺)のことなんか、何一つ考えてない。戦国武将かってぐらい、暴虐武人なやつなんだ。
まぁ、何て言うか、俺はそれにすっかり慣れてしまっているし、そういうやつでも悪くないと思ってしまっている。
個がないとか、お人好しとか言われるのも仕方ないんだろうが、それでも居心地良いのが事実なんだよな。
未来の隼か……。ホント、まったく想像が出来ねぇな。このまま大きくなるような気もするし、全然違うやつになるような気もする。
……そうか。そうなんだ。同じことだったんだ。俺は、漆翼とは別の道を目指している。そして、実際に違う道を歩んでいるみたいだ。だったら、それは俺以外にも影響を与えてるってことでもあるんだ。
つまり、隼も漆翼の知ってる隼じゃないってことだ。そして、ほんの些細な違いでも、大きく変わってしまうのがあいつだ。
そういえば、漆翼は隼が『影』を操れるのを知らないみたいだったな。あの時にはもう、隼は別人になってたようだな。
むしろ、行動が一切予想出来ない分、あいつの方が俺より危険視されてるかもな。
事実、俺だったら、派生していく過去の自分なんかより、隼の行方の方が気になる。ホント、分からないってのは恐ろしいよな。