今回はちょっとグロい話なので、グロいのが苦手な人はここでそっ閉じしてください。

すみませんm(_ _)m




サナダムシ、知ってますか?

人の腸の中に寄生する、長いものは10mを超える紐みたいな寄生虫です。


自分は行ったことないんですが、目黒にある目黒寄生虫館にある8.8mのサナダムシ標本が有名ですよね!


アラフォー以上の世代?は、子どもの頃にやったぎょう虫検査を思い出すかもしれませんが、蟯虫とサナダムシは別物です。





実はサナダムシという名前の虫がいるわけではありません。

サナダムシとは条虫(紐状の寄生虫)の総称なので、いくつか種類がいます。


最も一般的なのが、日本海裂頭条虫。たぶん、日本でサナダムシといって想像されるのはほとんどがコレなんじゃないでしょうか?

サケマス類を媒介して人体(腸)へ入ります。無症状なことから、寄生されてもすぐには気づかないそうです。

ちょっと前までは日本でも広節裂頭条虫という名前で呼ばれていましたが、欧米の広節裂頭条虫(淡水魚に寄生)と日本の広節裂頭条虫(海洋性の鮭マス類にのみ寄生)は姿はほとんど同じでも種類が違う別種だということが近年わかった(1986年に山根先生の研究により判明した)そうです。


そしてもうひとつ有名なのが、有鉤条虫

こちらは主に豚を媒介して人体へ入るのですが、こちらはかなり厄介なヤツでして、腸だけでなく体中を移動するので脳や眼に神経囊中症という重篤な病気を引き起こすことがあります。

豚肉を生で食べてはいけないのはこのためですね。


あと、北海道で有名なのがエキノコックス

こちらは主に狐を媒介して人に移る寄生虫です。野生のキツネに触るな!と言われる理由のひとつが、エキノコックスへ感染するおそれがあるからです。

エキノコックス症を発症すると、高確率で死に至ります((;゚Д゚)ガクガクブルブル

最近では知多半島の野犬から発見されているそうなので、野良犬にも触らない方がいいでしょう。


ほかに身近なところで見られるのは、瓜実条虫でしょうか。

ノミを媒介として猫に寄生するサナダムシで、うちでもしるちゃんが寄生されたことが何度もあります。

寄生されていると、寄生虫の破片がうんちと一緒に排出されるのでトイレをよく見ているとわかります(うんちに白く細長い粒がついていたらソレです)。


瓜実条虫は人にも感染することもあるので、猫のうんちを片付けたあとは絶対に手洗いをするようにしましょう。

というか日本海裂頭条虫以外は、全て便から再感染しないように注意が必要でしょうか。





ちなみになんでサナダムシと呼ぶかというと、真田博士が発見した寄生虫……だからではなく、





真田紐に似ているかららしいです。











えー、なんで突然サナダムシの話をはじめたかというとですね、








出たんですよ!((((;゚Д゚))))








先日のことなんですが、午後イチからクライアントのところへ行く用事があったんです。


朝食兼ちょっと早い昼食のカツ丼弁当を10時くらいに食べ、11時を過ぎたのでぼちぼち家を出る支度をはじめ、トイレでウ◯コをしていたときのことなんですが……。


お尻を拭いたらなにかニューンとカラダの中から抜ける感じがあったんです。

言葉で表すなら、貧血で血の気がスーッと引いていくときに近い感じ? 貧血は頭がスーッとしますが、それがお腹の中で起きたんですよね。



なんだろう?とトイレットペーパーを見たら、なにか白っぽいヒモのようなものが垂れ下がっていて……、




ひやぁ!(゚Д゚#)




となりました。





モザイクをかけてありますが、長さ15cmくらい、幅1cmくらいのクリーム色をしたヒモ状のものでして、よく見ると1cm刻みくらいで節のようなものが付いており……。


見た瞬間、あー、これは魚からきた虫だろうなーと思いました。



実はこの前3日連続で生のカツオの刺身を食べていたので、もしかしてカツオに着いてた虫?とも思ったのですが、さすがにこれだけ長いものなら食べているときに気づくでしょう。







ということはアレですよね、






これがサナダムシってやつか!(゚Д゚)クワッ





前からいたのか、カツオを食べたせいなのか?

まぁまぁ、素人考えで判断するのは危険なので、とりあえず病院へ行ってみよう。


ネットで調べると消化器内科へ行けばいいみたいなので、急いで支度をして近所の消化器内科へ行ってみたのですが、まだ診察時間内のはずなのにドアが閉められており、電話をしてみても出ません。




近くに胃腸科があったので、腸にいる寄生虫だし胃腸科ならわかるだろう……と電話をしてみました。


看護師が出たので、コレコレこうでサナダムシかもしれないのですけど……と説明すると、え?何言ってるのこの人?と言わんばかりな雰囲気で「ハァ?」と返事をされたあとに「先生に聞いてみます」と言われ、次は先生が電話に出ました。



先生は、



「サナダムシなんか見たことないからなぁ。キミはそれがサナダムシだってわかるのかね?」



えぇ? いやいや、それがわからないから聞きたくて病院に行こうとしてるんですが……。



「実物があるならそれを検査に出して調べることはできるよ。それからどうするか判断できるからとりあえず持ってきなさい」



ということになったのですが、これって、




全く知識ない先生に見せても意味ないよね?




だって、検査だって時間かかるかもだし、万が一今すぐどうこうある話だったとしても、そういう知識すら無いんでしょ?

さっきの先生の言葉も、なんかただの好奇心から出ただけのように聞こえたし……。


知識のない医者が全く役に立たないのは突発性難聴で経験済みですから、一度電話を切ったあとに、専門の病院が見つかったのでそちらへ行きますと告げて断りました。




さて、近くにサナダムシなど寄生虫の知識がちゃんとある先生がいる病院はないかなぁ。


探してみると、近所ではありませんがそれらしきところが2件見つかったので、近いほうの病院へ電話をして夕方の診察を予約しました。



もしかしたら消化器内科ならどこでもよかったのかもしれませんが、昨年アニサキスで胃腸科へ行ったときもHPの対応症状にアニサキスと書いてあったにも関わらず、実際行ってみたら先生はアニサキスの知識ゼロでしたからね。


どんな病気にしても、病院は選んで行ったほうがいいと思います(; ̄ェ ̄)


※行った病院の先生の話では、やはり適当な消化器内科ではなくちゃんと寄生虫に詳しい先生がいる病院へ行ったほうがいいとのことです。






ちなみにこちらが出てきたサナダムシの全体です。伸ばしたら15cmくらいですね。


出てきたときそのままウ◯コと一緒に流してしまおうかとも思いましたが、病院へ行くなら現物があった方が話が早いでしょうから、写真だけでなく現物も取っておきました。







で、夕方。

クライアントの元で仕事をしたあとに予約していた病院へ行き、先生にとっておいたサナダムシと思われるものを見せると、



「見た感じは間違いなくサナダムシ(日本海裂頭条虫)ですが、この検虫は検査に回します」



とのこと。


とくに体に異変がどうこう起きることはないので、来週検査結果のレポートが来てサナダムシの種類の最終確定をしてから駆虫すればいい。治療は薬を一錠飲むだけとのことでした。


大腸カメラを飲むとき同様、薬を飲む前に大腸を空にしないといけないそうですが、家でもできるとのことです。





はじめてのことなので、疑問に思ったことをいくつか先生に質問してみました。



Q.お腹の中には何mくらい残っている?

A.正確にはわからないが、おそらく7〜8mの長さがあるのではないか。



Q.家で生活していて他の人に感染ることはないか?

A.それはない。


その理由ですが、卵をプランクトンが摂取するとプロセルコイドという状態に育ち、それを鮭やサクラマスが食べると魚の中でプレロセルコイドになり、その状態で人やクマに食べられてやっと腸に寄生できるようになるんだとか。

なので、卵を直に食べても寄生虫が腸内に付くことはないそうです。

※今回は日本海裂頭条虫との診断だからですが、他の種類のサナダムシの場合は便についた卵が手に付着することで経口感染することも考えられます。



Q.感染したのはいつ頃と考えられるか?

A.お尻から出てくるまで育つのに3カ月前後かかるので、それくらい前に感染したと思われる。



Q.感染源は何が考えられるか?

A.日本海裂頭条虫は鮭、サクラマスを生で食べて感染する。


あー、これは心当たりが……。3月中旬に居酒屋でサクラマスの刺身を食べていましたw(サナダムシが出たのは7月上旬)

他には回転寿司のサーモンを食べていますが、養殖トラウトサーモンは寄生虫がいないので、感染源はあのサクラマスで確定でしょう。



Q.治療にかかる費用は?

A.駆虫薬は保険対応外なので自費。検体の容器代など全部で1万円弱とのこと。


虫下しで成虫は駆虫できますが、卵には薬が効かないため、1ヶ月後に検便をして卵が残っていないか検査をして治療は完了するとのことです。





今回は現物があったのでそのまま検体として使いましたが、トイレに流してしまっていた場合は検便を取りそれで検査するそうです。


写真だけだとスケールがわからないとのことなので、万が一お尻から謎の虫が出た場合は、捨てずに取っておきましょう。

※あとから思いましたが、ジップロックでは乾いてしまうので、密封できる小型の瓶に虫が浸るように水も入れて持っていけばよかったですね。




いや〜、普通のサナダムシ(害が無いやつ)でよかった。

お尻から虫が出てきたのを見た瞬間はえっ?となりましたが、しるちゃんのうんちから瓜実条虫が出てくるのは何回も見ていたし、その経験があったからそこまで焦らず済みました(^◇^;)


ちなみに瓜実条虫や有鉤条虫は片節(切れた側)も動くのですが、日本海裂頭条虫は動かないから平気だったというのもありますね。






さて、翌週に駆虫してめでたしめでたし……と思っていたのですが、帰りの電車でサナダムシについて調べていたら、日本のサナダムシの権威である藤田紘一郎先生の記事を見つけました。


藤田先生がサナダムシの研究者ということは知っていましたが、記事を読むのははじめてでした。



「寄生と共生」の理解が人間を救う  〜サナダムシ・キヨミちゃんからのメッセージ〜



藤田先生は自らサナダムシを体内に飼っていたことで有名な先生ですが、これを読むとどうやらサナダムシが体内にいることで様々なアレルギーを改善する効果があるらしい!(゚ω゚)



サナダムシが宿主が弱らないよう、ウイルスやアレルギーに対する抗体を作る能力を発揮することで、なんと、




花粉症も治ってしまうんだとか!(  ゚ ▽ ゚ ;)エッ!! 




マジですか?



藤田先生が「キヨミちゃん」と名前を付けて体内で飼っていたサナダムシは、今自分の中にいるのと同じ日本海裂頭条虫。


日本海裂頭条虫の症例報告は年間40件ほど(実際にはその数倍ある?)らしく、そうそう罹らない病気なんですね。






だったら、すぐ駆除しないで、





本当に花粉症に効果があるのか試してみたいじゃないですか(^_^;)





というわけで、病院の先生に聞いて問題なさそうだったら、しばらくサナダムシと共生してみたいと思います。


藤田先生にちなんで、自分はこのサナダムシを「サクラ子」と名付けました ( • ̀ω•́ )✧



残念ながら藤田先生は2021年にご逝去されていますが、もしご在命だったらサナダムシのお話を直に聞いてみたかったですね。







日本海裂頭条虫は、鮭(シロザケ)、サクラマス、カラフトマスから感染しますが、中でも春から初夏の魚(鮭だとトキシラズ)は特に多いらしいです。


サナダムシと共生したいなんて奇特な人はそういないと思うので、鮭マス類をお刺身で食べるときは-20℃で24時間以上冷凍したもの、またはしっかり火を通した料理で食べるようにしましょう。


もし刺身を食べるとき日本海裂頭条虫の幼虫が生きていても、よく噛んで潰せば死ぬようです。しかし、幼虫は1〜2cmくらいと小さいため、運が悪いと噛んだ隙間から生きたまま体内に入ってしまうのでしょうね。



海で過ごす鮭鱒類の魚にはアニサキスも多いので、生食は絶対せず、業務用冷凍庫でしっかり冷凍したものを食べるようにしましょう。






その②につづく




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