本来であれば、100%信用できなければいけないと思うのだが、あなたは、

 

医師の言葉をどこまで信用できますか?

 

 

突発性難聴の治療での実体験、医師から効いた話、ネットで見た体験の中には、「実際に医師の言葉はどこまで信用できるのか?」と思うところが多々あったので、あえて記事にしておこうと思う。

 

 

診療所で先生から治療を受けているときに聞いた、とても印象に残っている言葉がある。

 

 

「突発性難聴は耳鼻科では治せません。ペイン科の治療に頼るしかないんです」

 

 

こんなこと、一般の人間には思いつかないだろう。自分もそうだったが、耳の病気は耳鼻科へ行けば治るものだという先入観があるからだ。そういう意味でも、自分が入院した病院は(麻酔医を常駐させ星状神経節ブロック注射も行っているので)いい病院だと言われたのをよく覚えている。

 

しかし、いちばん初めに入院を思い浮かんだ都立病院は、ステロイド点滴治療しか行っていなかった。もし何も調べずにいて、医師の言うことを全て信じ、言われるがままにここへ入院してしまっていたら、今はどうなっていただろうか……。

 

 

 

「治る可能性があるのに、その可能性がある治療をしなかったら、それは医者の責任です」

 

 

という先生の言葉が、自分の中でここに繋がってくる。

 

ところで、医師は患者の治療についてどこまで責任を持ってくれるのだろうか?

治療方法がわからない素人に対して、本来はプロである医師が治る可能性の高い治療の道標を立ててもらえる。多くの患者がそう思っていることだろう。結果的に治った・治らなかったは別にしても、それが医師の責任でもあるだろう。しかし、本当にそれができるのは、病気に対してちゃんとした知識を持っている医師だけではないだろうか。

 

突発性難聴の治療については、『ステロイド点滴以外の治療の効果が検証できないため、やったところで金銭的負担になるだけで意味がない』と考えている医師もいるかもしれない。『自分の病院に他の治療をする設備がないため、(一般的に言われている治る確率だけをみて)自分の病院だけで治そうとしている』医師もいるかもしれない。もしくは、『ステロイド点滴治療以外の治療法についての知識が無いため、他の治療を行わない(行えない)』医師もいるだろう。そして、『ステロイド点滴だけではなく、うちの病院でできるこの治療をやろう』『ステロイド点滴はうちの病院でできるが、他の治療はできないので、それらの治療ができる病院にまかせよう』と考える医師もいるだろう。

 

ではなぜ、医師によってこのように意見が分かれるのだろうか?

その理由は、医師の腕の良し悪しや経験の量(突発性難聴についての知識をどれだけ持っているか)にもよるからだろう。

おそらく、腕の良い(知識と見識、高い技術を持っている)医師であれば、可能な限り回復する確率の高い治療法を責任を持って考えてくれることだろう。しかし、腕の悪い(知識の乏しい)医師のなかには無責任に「突発性難聴ね。1/3は治らないから諦めてね」なんて処置しかしない人もいるかもしれない。もちろん、こんな医師がいたとしたら、信用できませんよね?(そんな医師はいないと信じたいが)

 

 

突発性難聴は、他の病気のように腫瘍を取り除けば治るという病気ではない。聴こえは感覚的なものなので、患者がどんなに訴えたところでオージオグラム以外に医師が判断する基準はない。どんな治療をしたところで、治るという保証もない。突発性難聴はそれだけ治療が難しい病気なのだ。

 

医師の責任についての話をしてきたが、では、患者には責任はないのだろうか?

自分でいろいろ調べて選んだ病院でも、たまたま近所にあって選んだ病院でも、どちらにせよその医師が判断した治療法を了承したならば、患者にもその時点で病院や医師を選んだ責任が発生するのだと自分は思う。だからこそ、耳鼻科の先生が言ったことだからと全てを鵜呑みにするのではなく、自身の症状の度合いを精査して、後になって後悔しないように治療法(病院)を選ばなければならない。信じられる基準となる目に見える治療データや、症状ごとにどんな治療方法を提示しているかを調べ、知識をもって自衛する必要があるのではないだろうか。

 

 

病気になったからたまたま行った病院で会ったばかりの医師が、腕がいいのか、信用できるのかなんていう判断をすぐにするのは無理だろう。むしろできなくて当たり前だし、逆に医師が言うことを信用しない人の方が少ないだろう。

 

 

だが、突発性難聴は「1/3が治癒し、1/3がある程度回復し、1/3は治らない」と言われている難病である。

2週間入院してダメだったら他の方法を探そう……では、(軽度であれば話は別だが)重度の場合は最も回復しやすい時期を逃してしまうことになりかねないのだ。

 

 

人は不思議なことに、見ず知らずの初めて会った人間でも病院の医師という権威ある人間が言うことなら信じられるのだと思う。その理由は、自分がその病気に対して何の知識もないからだ。相手はプロなのだから、間違ったことは言っていないと思い込んでしまう。しかし、自身にもある程度その病気の知識があったならどうだろうか?

 

自分の場合、不幸にも土曜日の昼頃に発症したため、土日の2日間病院にかかれない時間ができてしまった。だが、幸運なことに(日曜日は病院へ行くのは諦めていたので)逆に落ち着いてネットでいろいろ調べられ、月曜日には自分の望んだ病院へ入院することができた。以前にも書いたが、初めにかかったクリニックでステロイド点滴しかしていない病院へ紹介状を出されたなら、その医師の言葉は信用しなかった(別の病院の紹介状を出してもらうか、理由を述べた上で紹介を断って自分で調べた病院へ行った)と思う。

さらに幸運にも入院初期の段階でF診療所の存在も知ることができたので、入院時に4分法で105db(全く聞こえない)だった聴力が、退院3日前の聴力検査では30dbまで回復することができた。

ここまででも回復できたのはもちろん運がよかったのだろうが、自分でも考え、信じた道を進んだからだというのもあると思う(もちろん、医師や看護師、その他周りにいる人たちの理解と協力があったからに他ならないが)。

 

長くなって要点がまとまらない記事になってしまったが、

 

「治る可能性があるのに、その可能性がある治療をしなかったら、それは医者の責任です」

 

こんな想いを持った、医療に真剣に向き合って患者を治そうとしてくれる信用できる医師や病院のもとで治療を受けましょう。誰にでもその選択権はあるのです、というお話でした。