ふるいモノクロの邦画をひさしぶりにみる。
オープニングの日本舞踊のシーンが美しくて魅せられ、そのまま観れた。
落語の「真景累ヶ淵 豊志賀の死」を思わせるお話。
序盤は、ほとんど同じ展開で驚く。
が、気にせずに見る。
男っ気のない踊りのお師匠さんと、
お師匠さんのパトロンの豪商のおっさんと、
盗人・人殺しの若造と、
ヤクザ風情の居酒屋のおっさんと、
お師匠さんの弟子で豪商の娘と
お師匠さんの弟と。
騙したり、盗んだり、嫉妬したり、
脅したり、刺したり、殺したり。
まぁ、とんでもない悪党が登場する。
特にヤクザ風情の居酒屋のおっさん仁蔵(田崎潤)の
非情っぷりには、おぞけがたつほどの迫力があった。
この映画は1957年の作品。
今よりも着物暮らしが身近だった時代。
だから、出演者全員の佇まいや、仕草、風情がとても美しかった。
当時はこの映画、怪談映画として相当怖く、
お師匠さんおせんへの感情移入して涙する人もおおかったろうなと思う。
男女の仲になるシーンは、直接的な表現を避け、
着物の袖が扉からひきこまれる映像などで、観る側に想像させる映像が多く、
その工夫が、直接的な表現より色っぽかった。
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1957年・日本
監督:倉橋良介
脚本:柳川真一
出演:水原真知子、北上弥太朗、名和宏、日守新一、瑳峨三智子、雪代敬子、田崎潤、紫千代、尾上菊太郎、万代峰子、高山裕子、柳家金語楼、森美樹、桂小金治、花菱アチャコ
製作:小糸章、松竹京都
配給 / 制作:松竹
あらすじ:
江戸は笠森稲荷の近くに住む踊りの師匠おせん(水原真知子)は、名代の美人で女盛りだが浮いた噂一つなく男嫌いで通っていた。そのおせんの肌に、火をつけた男、宗次郎(名和宏)はとんでもない悪党。持って生まれた美男振りに物いわせ女から女へ渡り歩きながら盗みをするという奴。ある夜居酒屋で旅人風の若い男の懐中物に目をつけてこれを奪い、その男を大川に蹴落とした所を目明しに見とがめられて、おせんの家に逃げ込んだのだ。この宗次郎に、ぐれて家を飛出したままの弟直吉(北上弥太朗)の面影を見出したおせんは、弟をいたわるように宗次郎を諭し、下男代わりに家においたのが、かえって仇となった。ある日、強引に宗次郎に犯されたおせんは、初めて知った女の喜びに身も心も掻き乱されてしまった。そんな彼女に、嫉妬したやもめ暮しの豪商和兵衛(日守新一)はうっかりその胸のうちを、仁蔵(田崎潤)という悪党に洩らしてしまった。仁蔵は、和兵衛から褒美の金にありつこうとおせんの家に忍び込み、煮えたぎった行水の湯を彼女に浴びせて逃げ去った。おせんの顔半分は見るも無惨に焼けただれてしまった。そうした彼女に、宗次郎は嫌気がさし、おせんの愛弟子で和兵衛の娘お吉(雪代敬子)に好色の手を伸ばした。おせんは嫉妬に狂った。そんなある日、お政(瑳峨三智子)という娘がおせんを尋ね、弟の直吉が自分の処で傷の養生をしていると告げた。これを聞いた宗次郎は、先日大川に突き落とした男がこの直吉と知り、居たたまらなくなって家を飛出した…。

