なかなか、皮肉が効いててよい。
アメリカ資本にじわじわと呑まれ、心も体も擦り減っていく日本の今を、静かに、でもしっかりと描いた映画だった。
Amazonを思わせるような巨大企業の「お客さまのために」という美辞麗句。
けれどその裏で、配送業者や出品業者はギリギリまで買い叩かれ、
老いたドライバーが時間に追われ、
耐久性のある製品を作っていた家電メーカーは、静かに潰れていく。
“合理性”と“効率”に押しつぶされる現場の人間たち。
だけど、その最果てにまだ「助け合い」が残っていることも、少しだけ描かれている。
怒りとも悲しみともつかない感情が、じんわり残る。
こんなに風刺を効かせているのに、説教くさくならないのは、
演出と脚本のバランスの妙だと思う。
主演の満島ひかりは、いつもの通り良い演技だったけれど、
今回は“鼻”が妙に印象的だった。
ハイライトとシャドーが強く入っていて、
「なんでこんな鼻にこだわる?」と思っていたら、
後半の写真のカットで「ああ、これね」と納得。
そんな風に「演出意図」に気づけるようになった自分に、ちょっとだけ成長を感じたりする。
余談だが。
日本って、やっぱり“心”で生きてきた国だと思う。
その“心”が、いま剥がれ落ちていることに、静かに気づかせてくれる映画だった。
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2024年 日本
監督:塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
出演:満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、大倉孝二、酒向芳、石原さとみ、綾野剛、星野源、阿部サダヲ
音楽:得田真裕
主題歌:米津玄師「がらくた」
上映時間:128分
配給:東宝
公開日:2024年8月23日
📝 あらすじ
ブラックフライデー前夜、世界的なネット通販大手の段ボール箱が次々と爆発する事件が発生。新任倉庫長の舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャー・梨本孔(岡田将生)と共に、事件の真相に迫る。やがて明らかになるのは、かつて同センターに勤務していた山崎佑の“悲劇”と、その影響を受けた人物による計画的犯行だった。エレナは、その“爆弾事件”を止めるため、かつてない決断を迫られる。事件の先に見えたのは、物流という社会インフラへの問いと、人間やつながりへの深い問いだった。
