見るからにお金をもってそうで、頑固そうなジイさんが倒れて入院した。
脳卒中。
父の病室にかけつける50代とおぼしき姉妹ふたり。
慣れないことで、あたふたするも、父の容体が安定し、
姉妹もようやく胸をなでおろす。
この3人の背景は、まったく明かされず映画はすすむ。
少しづつ、この3人の職業や、関係性が明かされる。
長女はパートナーはいるが、子供はいない。
父は実業家で裕福な家庭だった。
次女は音楽関係の仕事をしていて2人の子供がいる。
母は気難しくて長年鬱をわずらい、父との関係は悪化。
父は、ホモセクシャルで、元カレとの別れ話がこじれて脅迫されている。
などなど。
ありふれた日も、ありふれてない日も、ありのままの姿を描く。
父の体調も回復し、ようやく元気を取り戻したかに見えたが、
入院先のベットの中で、脱糞し、ナースをよぶも2時間放置されたことに失望し、
「終わらせてくれ。尊厳をまもらせてくれ」と娘に嘆願。
とまどう姉妹だったが、どうにかこうにか乗り越えて、
スイスでの安楽死の手はずをする・・・・。
フランスでも、安楽死は違法。手伝うと、殺人とみなされる。
スイスでは、本人の意思で、本人が自分の手で100㏄の毒薬をのんで自死する。
手助けをすると、殺人とみなされる。
身動きがとれない老人のため、移動は救急車を使う。
パリからスイスのベルンまでの大移動は、自分ひとりで行い、
家族は幇助にならないよう、立ち合いもできない。
どんな思いで安楽死を選ぶのか。
その意思を尊重する家族の心境などを、
けっして辛気臭い雰囲気にせず、前向きな人生の選択のひとつとして描いている。
このあたりが、日本映画との違いで、日本だと辛気臭くなるのは、なんでだろうか。
このおじいちゃんのキャラクターのせいだろうか。
このおじいちゃんが安楽死できそうだと分かった時のセリフが心に残る。
「貧乏人は、どうしているんだろうか。かわいそうに」
「みな、死をまつのよ」
日本じゃたぶん、もう使えない言葉だろうな。
自死を含め、死を選ぶ、選ばないも、個人の選択だから尊重したいとわたしは思う。
<あらすじ>
小説家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)は、85歳の父アンドレ(アンドレ・デュソリエ)が脳卒中で倒れたという報せを受け病院へと駆けつける。意識を取り戻した父は、身体の自由がきかないという現実が受け入れられず、人生を終わらせるのを手伝ってほしいとエマニュエルに頼む。愛する父からの思わぬ発言に困惑するエマニュエル。つい「悪い父親よ。友達ならよかった」と嘆くが、「なら友達として手を貸すのよ」と友人から背中を押され、妹・パスカル(ジェラルディーヌ・ペラス)とともに父の最後の願いに寄り添うことを決意する。そして、フランスの法律では安楽死の選択は難しいため、スイスの安楽死を支援する協会を頼る。一方で、リハビリが功を奏して日に日に回復する父は、孫の発表会やお気に入りのレストランへ出かけ、生きる喜びを取り戻したかのように見えた。だが、父はまるで楽しい旅行の日を決めるかのように、娘たちにその日を告げる。
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2021年フランス=ベルギー
脚本・監督:フランソワ・オゾン
出演:ソフィー・マルソー 、アンドレ・デュソリエ 、ジェラルディーヌ・ペラス 、シャーロット・ランプリング、エリック・カラヴァカ、ハンナ・シグラ
▼シャーロット・ランプリングという女優さんは、モデルから女優に転向した人だけど、
顔をメンテナンスせず、老いをそのまま受け入れている、数少ない女優さんだ。生き方がカッコイイ。
なにかの映画だったか、、、ヒュージャックマンがジゴロを演じてた映画だったかでは、
70歳ちかい年齢で堂々と裸体で登場していたし。
受け入れて、堂々とした姿がかっこいいわ。


