この映画、わたしにとって、ブラックコメディだった。
ほんとうは、イタリアマフィアの第二次マフィア戦争の凄まじさを描いた、史実系映画なのだけど、映画後半の、演劇でいうトコロの第二幕は、もうコメディとしか言いようがないww。
オモロかった。爆笑だった。
裁判所の法廷内がもう、トンチキ騒ぎ。
被告人は禁止されてる葉巻を吸うわ、トランプするは、全裸になるわ、発狂するわ。
被告人のマフィアたちが自由すぎる。
しかも、裁判のはじまりは、密告者のマフィアのボス・ブシェッタなんて知らん!顔もはじめてみた!こいつはただの、嘘つきや!の証明からはじまる。
しかも被告人のマフィアは総勢で50人以上。この数が、裁判所の檻の中から、やんやんと野次を飛ばす。しかも、この人数に対応する罪状は300以上で、これに対応する検察と、裁判官が同席している。そして裁判官以外は、みな同じ方向に扇形に座らされていて、、、。
座席の位置が、議論する位置になくて、劇場形式なのも笑う。これはもう500人規模の中劇場といったカンジ。舞台上には裁判官。SS席下手に、弁護士軍団。SS席上手に、検察軍団。1階席奥に被告人。2階席に傍聴者とマスコミ。といった構図。
そして観客みなマナーが悪い。野次がとまらない。一向に、芝居が前に進まない。そんなトンチキ騒ぎがつづく。
しかも、密告者(いわゆる検察側証人)であるブシェッタと、被告人が直接論じ合う「対決」というシステムがある。被告人が、証人の証言を論破しようとするチャレンジタイムなんだが、これがもう子供の口ゲンカレベル。合理性がない。
「オマエは、オレの幼馴染で、マフィアに引き入れたのもオレだ!」
「おまえなんて知らん!今、ここではじめて会ったおとこだ」
「オマエの息子に、オレの血を輸血したことを忘れたか?」
「そんなこと、あるわけない」
・・・・・・・・・・・
カンタンに証拠が集められそうなことに、時間を割くイタリアの裁判、、、、。
しょうじき、イタリアの司法はだいじょうぶ?と心配になる。
もしも、今後、イタリアに旅行することがあって、なんらかの事件にまきこまれて誤認逮捕されたら、
こんなトンチキ騒ぎの裁判で、無罪になるのは至難の業に思える。
そりゃ映画だから誇張してるところはあるでしょうけど、日本や、アメリカの裁判みたいな緊張感が1ミリもない。
これで、公平で、正当な裁判できんのかな?
この映画がコメディ仕立てならまだしも、一応、シリアス路線でつくってる映画なのに。
イタリア、ヤバイやん。
そして、どうしてヨーロッパの裁判では、いまだに白髪クリンクリンのカツラかぶる人がいるんだろうか。かぶってる人、かぶってない人がいるから、選択制なんだと思うが、意味はなんだろうか。起源はなんだろうか。
法廷服?ってーの?SS席だけ、衣装が中世ヨーロッパで、時代演出が浮いてて、おかしくておかしくて。
もう、不思議がいっぱい(笑。
世界が絶賛した映画らしいが、
ヨーロッパ文化に詳しくないわたしにとっては、呆れ果てるながらみる楽しい映画だった。
たくさん好奇心が刺激される映画は、おもしろい!
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2019年イタリア、フランス、ブラジル、ドイツ
監督:マルコ・ベロッキオ
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、マリア・フェルナンダ・カーンヂド、ルイジ・ロ・カーショ
“対決”の時の顔がみえへんのはおかしい!と意見した弁護士軍団に、
「そんなことは、法律で認められてません。そんなことは司法学校の1年目で勉強することです」
と指摘され、、、。
この裁判での会話はどこまで、実話なんだろうか。
1980年代の裁判だなんて、信じられん。
現在は、合理的に改善されてんのかな。
そしてこの映画の主役で、密告者でもあるトンマーゾ・ブシェッタは、マフィアとつながりのある政治家の名前を吐いてないことで、マスコミから非難されているが、映画中で当時の首相ジュリオ・アンドレオッティが、意味深な登場の仕方をしている。これは、監督の最大の皮肉なんだろうな。
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